「保険料を払っても結局使わなかった」「保険会社にお金を渡してるだけじゃないの?」そんな風に感じたことがある人は少なくありません。しかし、保険の本質を理解することで、その見方は大きく変わるかもしれません。本記事では、保険を単なる“貢ぎ”と考えないために知っておきたい基礎知識と考え方について解説します。
保険の仕組み:多数の人でリスクを分散する“相互扶助”
保険は「加入者全員でリスクを分け合う」ことを目的とした金融サービスです。事故や病気、災害など、いつ起こるか分からない出来事に備えるために、多くの人が少しずつお金(保険料)を出し合い、いざというときに必要な人に給付される仕組みです。
たとえば自動車保険では、ほとんどの人が事故を起こさなくても、万が一の事故に備えて保険料を支払っています。これはまさに“保険”という考え方そのものであり、誰かが困ったときに全体で支える構造になっています。
保険料を使わない=損ではない
「保険を使わなかったから損」と感じるのは、保険を“投資”と混同している証拠です。保険は資産を増やすものではなく、“損害を回避する手段”です。
例えるなら、「火災保険を使わなかった10年間」は「10年間無事だった」ということであり、むしろ幸運な結果です。同じように、医療保険も「使わないこと」が健康だった証しであり、損ではなく喜ばしいことだと考えるべきです。
なぜ保険が“貢ぎ”だと感じてしまうのか?
このような誤解が生まれる背景には、保険の仕組みが見えにくいこと、広告で強調される「給付金事例」などとのギャップ、そして保険会社が大企業であることへの不信感などが挙げられます。
また、積立型保険や外貨建て保険などは仕組みが複雑で、理解せずに加入すると「思っていたのと違う」という感覚になりやすく、結果的に“だまされた”や“貢いだ”といった印象を持つこともあるでしょう。
保険は「感情」ではなく「設計」で選ぶべき
保険は“安心を買う”ものであり、必要な保障を必要な期間だけ確保するという「設計」が重要です。特に次のようなポイントに注目して検討することが重要です。
- 保障の内容は自分のリスクに合っているか
- 月々の保険料が生活に負担をかけすぎていないか
- ライフステージに合わせて見直しができるか
たとえば、独身時代は最低限の医療保険で十分でも、結婚や出産を機に死亡保障や収入保障を追加するなど、人生設計と連動して考えるべきです。
保険を「自分のために使える」ケースもある
一部の保険商品には、満期返戻金や生存給付金があるものもあります。特にがん保険や医療保険では、一定期間無事故であれば「祝い金」が出るものも存在します。
また、死亡保険は「自分のための保険ではない」と思われがちですが、実際は家族に経済的な安心を残す重要な手段でもあり、精神的な支えとなる価値もあります。
まとめ:保険は“無駄”ではなく“備え”。正しい理解で賢く選ぼう
保険を「貢ぎ」と感じるかどうかは、その人の保険に対する理解度や経験による部分が大きいです。しかし本来、保険は誰かにお金を渡すためのものではなく、“自分や家族の生活を守るための備え”です。
目的に合った保険に、無理のない保険料で加入することで、「損をした」という後悔も、「使わなかった」という失望も少なくなります。冷静に、自分にとって必要な保障とは何かを見極めることが、保険との正しい付き合い方といえるでしょう。
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