扶養内で働くときの収入の計算方法と注意点|退職後・再就職を予定している方へ

社会保険

扶養に入っている方が再び働き始める場合、「扶養から外れないためにどの収入がカウントされるのか」はとても重要なテーマです。特に退職と再就職の間が空いている場合、どこからどこまでの収入を合算して判断するべきかは制度によって異なります。本記事では、社会保険・税制上の扶養の違いと、それぞれの収入計算の考え方をわかりやすく解説します。

税制上の扶養と社会保険上の扶養の違い

まず理解しておきたいのは、「扶養」とは税金に関する扶養と社会保険に関する扶養の2種類があるということです。

  • 税制上の扶養:年収103万円以下が目安(配偶者控除)
  • 社会保険上の扶養:年収130万円未満が目安(健康保険・年金)

これらは計算方法や判定期間が異なるため、両方に注意が必要です。

社会保険上の扶養の収入計算方法

社会保険の扶養は「今後1年間の見込み年収」で判定されるのが原則です。そのため、3月までの収入(退職前の収入)は原則として無関係です。

9月からパートを開始する場合は、その時点から見た「今後12ヶ月間で130万円未満」かどうかで判断されます。つまり、9月からの月収が約10.8万円以下であれば、扶養に入り続けることが可能です。

税制上の扶養の収入計算方法

税制上の扶養(配偶者控除や配偶者特別控除)は、その年の1月〜12月までの年間収入で判断されます。そのため、3月までに働いていた分の給与と、9月以降のパート収入を合算して、年間103万円や150万円を超えないように調整する必要があります。

例として、3月までに50万円の給与があった場合、9月以降のパート収入は53万円以内に抑えることで、配偶者控除の対象になれます。

扶養のままで働きたいときの具体的な働き方

扶養に入ったままで働きたい場合、以下のような働き方が目安となります。

  • 月収10万円程度(社会保険扶養維持)
  • 年間収入103万円未満(税制扶養維持)

パート開始が9月であれば、年末までの収入は4ヶ月間。1ヶ月の収入を約25,000円〜30,000円程度に抑えれば、年間収入103万円以内に収まります。

130万円を超える可能性がある場合の対処法

もし130万円を超える見込みがある場合、自分自身で社会保険に加入する必要が出てきます。勤務先が社会保険の適用事業所で、勤務条件(週20時間以上・月収8.8万円以上・勤務期間2ヶ月超など)を満たしていれば、パートでも加入義務があります。

一時的な働き方で社会保険加入を避けたい場合は、短期間の契約や、扶養内の勤務時間に調整する方法もあります。働き方の契約条件をよく確認し、雇用主と事前に相談しておくことが大切です。

まとめ:扶養判定の対象収入は目的によって違う

扶養の判断に使われる収入は、「税制」か「社会保険」かで計算期間や基準が異なります。社会保険上の扶養はパート開始時点からの年収見込みが130万円未満かどうか、税制上の扶養は1〜12月の合計所得が103万円未満かどうかで判断されます。

自分がどちらの扶養を意識すべきかを明確にし、年収と月収をシミュレーションしておくことで、扶養から外れるリスクを減らすことができます。

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