転職や退職によって社会保険を喪失した場合、次の就職先で保険に加入するまでの間に「国民健康保険」へ切り替える必要があります。この切り替えを行わずに放置した場合、どのようなペナルティや影響があるのか、また未加入期間がある場合の正しい対処方法について詳しく解説します。
国民健康保険の加入義務とは
日本では、すべての国民が公的な医療保険に加入することが義務付けられています。社会保険(健康保険)に加入していない場合、原則として住民票がある市区町村の「国民健康保険」に加入しなければなりません。
社会保険を退職などで喪失した場合は、14日以内に市区町村役場で国民健康保険への加入手続きが必要です。これを怠ると、後述する「過料」の対象になる可能性があります。
過料10万円とは?実際に科されるのか
法律上では、国民健康保険への届出を怠った場合、「正当な理由がない限り」最大で10万円の過料が課されることがあります(国民健康保険法第127条)。
しかし実際には、過料が科されるケースはまれであり、多くの場合は未加入期間の保険料を遡って請求されるにとどまります。自治体ごとの判断も影響するため、一律に罰金があるとは限りません。
未加入期間があっても手続きはできる
たとえ加入手続きが遅れても、保険料を支払うことで「遡及加入」することが可能です。この場合、社会保険の喪失日(今回の例では6月1日)までさかのぼって国民健康保険の加入者として取り扱われます。
そのため、7月11日から新しい会社で社会保険に加入する予定があっても、その間の約1ヶ月分は国民健康保険料を支払う必要がある点に注意しましょう。
未加入期間の影響と医療費への対応
万が一、未加入期間中に病院を受診した場合、その医療費は全額自己負担となります。ただし、後から国民健康保険に加入すれば、申請によって保険適用分の払い戻しを受けられる場合があります。
ただし、返還手続きには領収書や診療明細、手続き書類などが必要になるため、しっかりと記録を残しておくことが重要です。
過料よりも注意すべきは「無保険状態」
過料のリスクは低いものの、「無保険状態での事故や病気」が発生すると医療費が高額になるため、金銭的な負担は非常に大きくなります。
また、遡及加入後に一括で数万円以上の保険料を請求されることもあるため、手続きは早めに行うのが賢明です。
まとめ:焦らず、まずは自治体へ相談を
社会保険の喪失から国民健康保険への切り替えが遅れてしまっても、すぐに過料が発生するわけではありません。重要なのは、「未加入状態を長期間放置しないこと」と「自治体に事情を正直に伝えること」です。
多くの市区町村では柔軟な対応をしてくれるため、焦らずに相談し、必要な保険料を支払うことで解決できます。
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