退職後も傷病手当金を受け取れる?1年以上の被保険者期間と通算要件をわかりやすく解説

社会保険

傷病手当金は病気やケガで働けなくなったときの生活を支える制度ですが、「退職後にもらえるのか?」や「在職期間が短くても対象になるのか?」といった疑問を持つ方も少なくありません。特に転職を挟んだケースでは、被保険者期間の取り扱いが複雑になりやすいため、正しい理解が必要です。

退職後に傷病手当金をもらえるための基本条件

健康保険から退職後も傷病手当金を受け取るには、以下のすべての条件を満たしている必要があります。

  • 退職日の時点で傷病手当金を受給している、またはその支給対象状態にある
  • 退職前に連続して1年以上、健康保険の被保険者期間がある
  • 退職後も引き続き療養のため労務不能である

この「1年以上の被保険者期間」は、同一の健康保険組合において連続して加入している必要がありますが、ケースによっては前職の期間を通算できる場合もあります。

前職と現職の被保険者期間は通算できる?

傷病手当金においては、前職と現職の間に健康保険の資格喪失期間がない(無保険期間がない)場合、原則として被保険者期間を通算することが可能です。これを「継続加入の原則」と言います。

たとえば、2025年1月中旬まで前職に在籍し、2月中旬から現職に就いた場合、間に健康保険の空白がなければ、前職の2年半と現職の4ヶ月を合算して1年以上の加入歴とみなされます。

被保険者期間通算の具体例

以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 前職A社:2022年7月〜2025年1月中旬まで在籍(健康保険加入)
  • 現職B社:2025年2月中旬〜(健康保険加入中)

この場合、退職時点で健康保険に継続加入しており、かつ前職から無保険の期間がなければ、前職と現職の加入期間を通算できます。つまり、合計で約3年の被保険者期間があることになり、退職後の傷病手当金の要件を満たすことになります。

注意が必要な「任意継続」と「国民健康保険」

被保険者期間として通算できるのは「健康保険(協会けんぽや健康保険組合など)」に限られます。任意継続被保険者期間や国民健康保険の期間はカウントされないため注意が必要です。

例えば、前職を退職後に一時的に国民健康保険に切り替え、その後に再就職した場合、前職と現職の間に保険の切れ目が生じるため、通算ができなくなります。このようなケースでは「1年以上の継続加入」という条件を満たせず、退職後の傷病手当金を受け取れなくなる恐れがあります。

退職を検討中なら確認しておくべきポイント

退職後に傷病手当金の支給を受けたいと考えている場合は、以下の点を事前に確認しておきましょう。

  • 前職・現職の健康保険の加入状況と通算可否
  • 退職時点で医師の意見書(労務不能証明)を取得済みか
  • 退職後も継続して労務不能状態が見込まれるか

また、会社の総務や健康保険組合への相談も早めに行っておくと安心です。

まとめ:被保険者期間の通算で退職後も傷病手当金を受給できる可能性あり

退職後に傷病手当金を受け取るには「1年以上の健康保険の継続加入」が必要ですが、前職から現職への切れ目がなければ、通算することが可能です。

したがって、在職中の4ヶ月だけを見て判断するのではなく、前職の加入期間と通算できるかどうかを確認することで、退職後も傷病手当金の対象となる可能性があります。退職を検討する前に、必ず保険加入状況を整理し、通算の可否を確認しておきましょう。

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