「老後資金は貯めすぎも良くない」という声がYouTubeなどでも取り上げられ、注目を集めています。確かに、節約一辺倒では人生の楽しみを損ねてしまうかもしれません。この記事では、夫婦2人が安心して老後を過ごすために必要な資産額や、資産の使いどきを見極める考え方を紹介します。
老後資金の目安はいくら?夫婦2人で考える基準
総務省の家計調査によると、夫婦2人の高齢者世帯の平均支出は月約24万円です。これに対し、年金の平均受給額は2人で約20万円とされ、月4万円の赤字が発生します。
仮に30年間(65歳〜95歳)この赤字が続くとすると、4万円×12ヶ月×30年=約1,440万円が必要になります。さらに、医療費・介護費や住宅修繕費などの突発的な支出も想定し、最低でも2,000万円〜3,000万円の金融資産が目安になると言われています。
「貯めすぎ」によるリスクとは?
金融資産を過剰に貯めすぎることで、必要以上に消費を控えてしまい、人生の満足度や幸福度を下げるという懸念があります。「老後破産」が怖くて使えない、という声も多くあります。
しかし、平均寿命や介護保険制度の実態を冷静に分析すると、過度な心配が不要なケースも多いのです。たとえば、公的年金は生涯支給される制度であり、資産が尽きたとしても収入はゼロにはなりません。
あなたはいくらあれば「安心して使える」?
安心して使い始めるには、自分なりの「下限額」を決めておくことがポイントです。例えば、夫婦で老後の支出シミュレーションを行い、「1,500万円を下回ったら引き締める」などのルールを設けておくと安心です。
また、定期的に家計を見直すことで、資産の取り崩しペースを調整することができます。最初から完璧を目指すのではなく、都度調整する柔軟さも重要です。
実際の家庭の事例:金融資産と支出管理
Aさん夫妻(65歳・金融資産3,000万円)
・年金:月20万円
・支出:月25万円
・差額:5万円を貯蓄から補填しながら、年に1回旅行や孫への支援に10〜20万円程度使用。
→70歳以降は支出を抑え、資産の減少は緩やかに。
Bさん夫妻(67歳・金融資産2,000万円)
・年金:月22万円(企業年金含む)
・支出:月22万円
・差額なし。
→資産をほぼ手付かずで維持しつつ、趣味と健康に投資。
資産を使い始めるタイミングとは?
資産を「使い始める時期」を計画しておくことも大切です。以下のような節目が一つの目安になります。
- 退職直後:リタイア祝いの旅行や趣味の準備
- 70歳前後:体力があるうちにアクティブな活動
- 75歳以降:医療・介護費に備えるフェーズ
特に70代前半までに「今しかできないことにお金を使う」ことが、後悔のない人生設計につながります。
まとめ:老後資金に「安心のライン」を持っておこう
夫婦2人での老後資金は、2,000万円〜3,000万円を一つの目安としつつ、必要以上に貯めすぎることの弊害にも注意が必要です。老後を安心して過ごすには、「貯めること」だけでなく、「使うこと」を計画的に考えることが重要です。
自分たちなりの資産活用ルールを持ち、ライフプランを見直しながら柔軟に対応することで、資産を上手に活かした豊かな老後生活を実現できるでしょう。
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