確定申告が終わったあとに「やっぱりあの経費を申告すればよかった…」と思うことは珍しくありません。特に住民税や所得税の金額が想定より高くなると、その思いはより強くなります。この記事では、事業融資の返済などを確定申告に反映させなかった場合の影響や、後からの修正申告の可否と手続きについてわかりやすく解説します。
住民税・都民税は確定申告の内容で決まる
住民税(都民税・市民税)は、その年の1月1日から12月31日までの所得を翌年の確定申告で申告し、それを基に計算されます。そのため、確定申告に記載した内容がそのまま住民税の課税所得に影響します。
つまり、経費を申告しなければその分所得が多く見積もられ、住民税が高くなるというわけです。
事業融資の返済は経費になる?
事業融資の返済は全額を経費にできるわけではありません。返済のうち利息部分のみが経費となります。本体(元金)は借入金の返済であって経費にはなりません。
たとえば、月に5万円を返済しているうち、利息が1,000円であれば、その1,000円が経費計上可能ということになります。
確定申告後でも修正申告は可能
確定申告後に「やっぱりあの費用も入れておけばよかった」と気づいた場合、期限内(翌年3月15日まで)なら訂正申告、期限後(最大5年間)でも修正申告が可能です。
ただし、還付になる場合は「更正の請求」という手続きになります。どちらも税務署へ再度書類を提出し直す必要がありますが、申告ソフトや税理士を通じてスムーズに行うことも可能です。
修正申告により住民税も変更される?
はい、修正申告によって所得が減額されれば、住民税の課税額も再計算されます。住民税は市区町村が国税(所得税)の申告内容をもとに決定するため、税務署での修正内容が自動的に地方自治体に通知されます。
これにより、すでに送付された納税通知書が変更・再発行されることもあります。
注意点:申告内容の変更には証拠が必要
たとえ修正申告が可能でも、経費とする根拠資料(利息の明細、返済計画書など)が必要です。税務署に対して説明責任が生じるため、あいまいな計上は避けましょう。
また、修正の頻度が多いと税務署の目にも留まりやすくなり、今後の申告に影響することもあるため、計上漏れは早めに対応するのが賢明です。
実例:後から修正して還付されたケース
実際に、事業融資の利息部分の申告を忘れたフリーランスが、確定申告後2ヶ月以内に修正申告を提出。所得が10万円減り、所得税が8,000円、住民税が7,000円減額され、合計1万5,000円の還付となった事例もあります。
提出した書類は修正申告書(B様式)、利息明細書、返済スケジュール表のコピーでした。
まとめ:今からでも遅くない、まずは状況確認を
確定申告後でも、経費の計上漏れに気づいた場合は適切に修正・申請すれば税額の見直しは可能です。
- 住民税は確定申告の内容に連動
- 融資の利息部分のみが経費対象
- 修正申告・更正の請求は最大5年以内まで可能
- 根拠資料を整えることが重要
住民税の負担を減らすためにも、正確な申告と速やかな対応を心がけましょう。迷った場合は、国税庁の公式ページや税理士への相談がおすすめです。
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