個人事業主や小規模企業の経営者にとって、将来の備えとして人気の「小規模企業共済」。中でも注目されるのが、廃業時に受け取れる「共済金B」です。ただし、受け取るには一定の条件や手続きが必要です。本記事では、共済金の受給条件や加入年数の目安、そして廃業扱いと認められるケースをわかりやすく解説します。
小規模企業共済とは?
小規模企業共済は、中小機構(中小企業基盤整備機構)が運営する退職金制度です。個人事業主や会社の役員が加入でき、毎月の掛金は全額所得控除の対象となるため節税効果もあります。
将来、事業を辞めたり、法人を解散したときに「共済金」としてまとまったお金が受け取れる仕組みです。廃業や退職、老齢など、受け取るタイミングによって種類が異なります。
廃業でもらえる「共済金B」とは?
廃業に伴って受け取る共済金は、「共済金B」と呼ばれます。これは、事業を完全にやめた場合や、法人が解散した場合などに支給されるタイプです。
「共済金A」は老齢給付(65歳以上で12年以上加入)などで、「共済金C」は任意解約(転職や継続困難など)で支給され、Bは最も有利な支給条件と言われています。
何年加入していれば受け取れる?
共済金Bの受け取りには、原則として加入期間の制限はありません。しかし、短期間(例:1年未満)での解約や受給の場合、掛金総額を下回る場合もあるため注意が必要です。
一方で、加入年数が6年以上になると、概ね掛金以上の共済金を受け取れるようになります。公式の早見表も参考にすると、目安がつかみやすくなります。
廃業扱いと認められる条件
共済金Bを受け取るには「廃業」と認定される必要があります。以下のような状況が対象です。
- 個人事業を完全に廃止し、税務署に「廃業届」を提出している
- 法人が解散し、登記簿上の法人登記が抹消されている
- 事業主や役員の地位を失い、継続意思がないことが明らか
逆に、廃業届を出しておらず、副業としてでも事業を継続している場合は対象外となる可能性があります。
実際の受け取り手続きと必要書類
共済金を請求する際には、以下の書類が必要です。
- 共済金請求書(機構から送付)
- 事業廃止届出書(税務署の受付印付き)
- 本人確認書類
提出後、審査を経て数週間〜1ヶ月程度で指定口座に振り込まれます。スムーズに進めるには、廃業の証拠となる書類を正確に保管・提出することが重要です。
途中解約の場合はどうなる?
途中で任意解約する場合は「共済金C」として支給されます。ただし、加入期間が短いと元本割れのリスクがあります。特に20ヶ月未満の解約は、返戻金がほぼゼロに近くなるため、安易な中途解約は避けたいところです。
それでもやむを得ない事情がある場合は、中小機構に事情を伝えたうえで慎重に判断しましょう。
まとめ:計画的な活用が成功のカギ
小規模企業共済の「共済金B」は、事業を廃止した際の強力なセーフティネットです。加入年数が長いほど有利で、6年以上が一つの目安となります。廃業扱いに必要な届出や書類を正しく整えることが、確実に給付を受け取るための第一歩です。
事業継続の予定やライフプランを見据えつつ、制度を有効に活用していきましょう。
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