大学生が知っておきたい国民年金の学生納付特例制度と追納の判断基準

年金

20歳になると、学生であっても国民年金の納付義務が生じます。しかし、学業や生活に集中したい学生にとって、月額1万7000円前後の保険料は大きな負担。そこで利用されるのが「学生納付特例制度」です。本記事ではこの制度のしくみや追納の必要性、そして将来の年金額への影響について詳しく解説します。

学生納付特例制度とは?仕組みを理解しよう

「学生納付特例制度」とは、20歳以上の学生が経済的に保険料を納めるのが困難な場合に、申請により在学中の納付を猶予してもらえる制度です。この間も年金受給資格期間にはカウントされるため、将来の年金受給の権利が失われることはありません。

ただし、この制度を使った期間は「未納」と同じ扱いであり、将来受け取る年金額には反映されないため、注意が必要です。

追納とは?支払い猶予後の選択肢

学生納付特例を利用した期間の保険料は、10年以内であれば後から「追納」することが可能です。追納することで、その期間も納付済みとみなされ、将来の老齢基礎年金の金額に反映されます。

ただし、追納の際には加算金(延滞利息のようなもの)が付く場合もあるため、早めに追納した方が負担が軽く済みます。

追納しなかった場合の年金への影響

仮に学生納付特例を2年間利用し、追納しなかったとすると、老齢基礎年金の金額は以下のように減額されます。

基礎年金は満額で年間約80万円(2025年度目安)。これは40年間すべて納付した場合の金額です。2年分未納(追納しなかった)=40分の2=5%減額となるため、約76万円程度に下がる計算です。

つまり、追納をしないことで将来受け取る年金額が毎年4万円程度少なくなる可能性がある、というわけです。

追納すべきか?判断のポイント

追納すべきかどうかの判断は、自分のライフプランと資金状況に応じて慎重に検討する必要があります。以下に判断材料を示します。

  • 将来的に安定した職に就く予定がある → 追納は有利
  • 収入が少なく、生活に余裕がない → 無理して追納しなくても資格期間は確保されている
  • 障害年金や遺族年金の対象になるリスクに備えたい → 納付または追納がおすすめ

なお、障害や死亡といった万が一の事態でも、学生納付特例期間中に納付実績があれば遺族年金・障害年金の対象となるケースもあります。

学生ができる国民年金との上手な付き合い方

国民年金は将来の備えであると同時に、在学中の状況に合わせた柔軟な制度も設けられています。学生納付特例はそのひとつであり、決して「支払いを逃れる制度」ではなく、「猶予して将来に備える制度」です。

できれば、就職後に安定収入を得たタイミングで早めに追納することで、老後の年金額を少しでも増やすことができます。

まとめ:学生納付特例制度は将来への一時的な猶予

大学生が国民年金保険料の負担を軽減するために利用できる「学生納付特例制度」は、非常に重要な仕組みです。追納の有無によって将来受け取る年金額に差が出るため、制度の意味をしっかり理解し、自分の将来を見据えた判断をすることが求められます。

● 学生納付特例は申請すれば利用可能
● 追納すれば将来の年金額に反映される
● 追納しない場合は年金が減額されるが、受給資格には影響しない

将来に向けて「いま何ができるか」を考え、制度をうまく活用していきましょう。

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