近年、65歳以降に公的年金の受け取り開始を遅らせる「繰り下げ受給」が注目を集めていますが、その影響を正しく理解しないと、思わぬ税金や健康保険料の負担増に直面することがあります。
繰り下げ受給とは?基本の仕組みと増額率
繰り下げ受給とは、受給開始を65歳から66歳以降に遅らせる制度で、1か月ごとに年金額が0.7%ずつ増額されます。たとえば70歳まで5年遅らせると、42%アップします :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
2022年に制度が見直され、75歳まで延長可能となり、最大84%の増額が可能となりました :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
増額のメリットと注意点
増額は一生続くため、生涯で受け取る年金額は増えやすく、80歳超えで元を取れるケースが多いです :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
ただし、加給年金や振替加算は繰り下げ中は受け取れず、遺族年金にも影響が出る場合もあるので、注意が必要です :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
税金・社会保険料の負担増の仕組み
繰り下げにより年金収入が増えると、所得税・住民税・国民健康保険料・介護保険料などが増えるリスクがあります :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
自治体によっては、年金収入が一定額(例:158万円)を超えると、控除が減るため非課税から課税へと変わり、負担が急増する可能性があります :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
実例:70歳まで繰り下げた場合の負担の目安
月21.3万円(年255.6万円)の年金を70歳で受け取り始めたケースでは、所得税・住民税・社会保険料を差し引いて約14%が引かれ、手取り年額は約218万8千円となります :contentReference[oaicite:6]{index=6}。
額面42%アップでも、手取りでは32~35%アップに留まる試算もあります :contentReference[oaicite:7]{index=7}。
課税者になると失う公的支援も
繰り下げによって非課税世帯から課税世帯になった場合、医療費軽減制度や老年者支援給付金などの公的支援が受けられなくなることがあります :contentReference[oaicite:8]{index=8}。
選ぶ際のポイント
- 自身や配偶者の寿命、すでに加給年金を受けているか、在職状態かなど、家族構成や職歴を踏まえて検討しましょう。
- 繰り下げによる年金額と、増える税・保険料の見積もりを行い、シミュレーションが重要です。
- 自治体ごとの国保料率や介護保険料率も違うため、地域ごとの条件を確認しましょう :contentReference[oaicite:9]{index=9}。
まとめ
繰り下げ受給は「将来の年金を増やす有力な手段」ですが、税金・社会保険料・公的支援への影響を踏まえた総合的な判断が鍵となります。試算や専門家相談を活用し、自分にあった最適な受け取り開始年齢を見極めましょう。
コメント