パートやアルバイトで働く方にとって、いわゆる「130万円の壁」はとても重要な指標です。しかし、月収の計算方法や扶養から外れる条件、掛け持ち勤務の場合の判断基準など、実は誤解も多い分野です。本記事では、具体的な収入例を交えながら、130万円の壁について正しく解説します。
「130万円の壁」とは何か?
130万円の壁とは、被扶養者として健康保険に加入している方が年間収入130万円を超えると、扶養から外れて自分で国民健康保険などに加入する必要が出てくる境界線のことです。
一般的に、会社の健康保険の被扶養者になるためには、「年収130万円未満」「かつ被保険者の収入の1/2未満であること」が条件です。この金額はあくまで目安であり、扶養者の年収や同居・別居の状況によって若干異なることもあります。
収入は「支払日」ではなく「発生ベース」で見る
ご質問にあった「15日締め、25日支払」のような場合、保険上での収入の考え方は「支払い日ベース」ではなく「収入が発生した月(働いた月)」で見られます。つまり、5月15日締めの給与が5月25日に支払われるとしても、勤務が4月16日〜5月15日の期間なら、その収入は4月・5月分として評価されます。
したがって、1月〜12月の間に「働いて得た収入」の合計額が130万円未満かどうかを確認する必要があります。
月収が8.8万円を3カ月連続で超えたらどうなる?
このルールは「社会保険の適用拡大(被保険者としての加入)」の条件として用いられる場合があります。通常、従業員501人以上の企業などでは、週20時間以上・月額8.8万円以上・2カ月以上勤務が見込まれる場合、社会保険加入が義務となるケースがあります。
一方で、扶養の判定においては年収ベースが基本となるため、ご提示の例のように「10万円・10万円・7万円」であれば、合計27万円であり、年間130万円未満に収まる前提であれば、即座に扶養から外れるわけではありません。
掛け持ちしている場合の収入の扱い
103万円や130万円など、扶養に関する収入の判定は「全ての事業所の収入を合算して」計算されます。たとえ2つのバイト先で働いていたとしても、それぞれの収入を分けて判断することはできません。
たとえば、A店で月7万円、B店で月4万円のバイトをしている場合、合計11万円とカウントされ、年間ベースでは132万円の見込みとされます。この時点で扶養から外れる可能性があるため、掛け持ちする場合は注意が必要です。
130万円を超えるとどうなるのか?
扶養から外れた場合、次のような影響が出てきます。
- 健康保険は自分で加入(国保など)
- 年金も自分で納付(国民年金)
- 住民税や所得税も増える可能性あり
特に健康保険料や国民年金保険料は年額で数十万円になるため、130万円の壁を少しでも超えると、手取り収入は逆に減る場合もあるので要注意です。
まとめ:正確な計算と見通しが大切
130万円の壁を意識する場合、収入の「支払日」ではなく「働いた月」を基準に計算し、1年間の見込み収入合計を把握することが重要です。また、掛け持ちの収入も合算して評価されるため、事前にしっかり計画を立てましょう。
心配な場合は、勤務先の社会保険担当者や地域の年金事務所・保険協会に相談することで、具体的な対策が取りやすくなります。
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