自動車保険の契約更新や新規加入の際に「押し出し」という言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。保険業界で使われるこの用語は、事故歴や等級継承に関連する重要な概念のひとつです。本記事では、「押し出し」の意味や具体的な影響、注意点について詳しく解説します。
自動車保険の「押し出し」とは?
「押し出し」とは、自動車保険で複数の契約がある際に、新たに加入した契約に過去の等級(ノンフリート等級)を適用させると、元の契約が新たに“等級なし”状態に戻されることを指します。
つまり、1台目の車で10等級だった契約者が、2台目の新車を購入してその等級を移すと、1台目は新たな車両扱いになり、6等級(事故有なら1等級)などから再スタートとなることがあります。
なぜ「押し出し」が発生するのか?
自動車保険の等級制度では、1契約につき1等級しか保持できません。そのため、1等級を2つの車に同時に適用することはできず、新しい車への等級移行に伴って元の契約の等級がリセットされるような形になります。
この制度は、等級の二重使用を防ぐために設けられており、特に保険料の公平性を維持するために重要な役割を担っています。
具体例:押し出しが適用されるケース
例えば、以下のようなケースが「押し出し」の典型です。
- 1台目:10等級で契約中
- 2台目:新規購入したため、10等級を移した
- 結果:1台目の保険が“等級なし”または“6等級”として扱われる
このように、保険契約を移行すると一方の等級が“押し出されて”リセットされてしまう点に注意が必要です。
押し出しを回避するにはどうすればいい?
「押し出し」を避けるための対策もいくつか存在します。
- 一時的に中断証明書を取得する
等級を引き継がずに契約を中断しておけば、最大10年間その等級を保持できます。 - 家族間で等級を活用する
家族内で車を共有したり、複数の車両を1契約でカバーする特約(セカンドカー割引)などを検討する方法もあります。
特にセカンドカー割引を活用すれば、2台目の契約が7等級からスタートできるため、保険料負担を軽減できます。
知らずに損をするケースもあるので注意
「押し出し」の制度を知らないまま契約を移行した結果、元の車の保険料が大幅に上がってしまうという事例もあります。
等級は10等級から6等級に下がるだけでも、年間で数万円の差が出ることも。
そのため、車を買い替える際や2台目を増車する際は、保険会社や代理店に相談して、「押し出し」を避けられるプランを比較検討することが大切です。
まとめ:等級管理で損しないために
「押し出し」は自動車保険の等級制度におけるルールのひとつであり、無駄な保険料を払わないためにも理解しておきたいポイントです。複数台を保有する方や車の買い替えを検討している方は、保険の等級管理を見直す良い機会かもしれません。
少しの知識で数万円単位の節約にもつながりますので、保険内容の変更時には必ず「押し出し」リスクを確認しましょう。
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