ADHD(注意欠陥・多動性障害)を抱えながら社会生活を送る中で、「障害年金」の対象となるのかどうか悩む方は多いです。特に、就労できている場合や、初診日が厚生年金加入前であった場合、障害基礎年金2級の受給が可能かどうか判断が難しくなります。本記事では、障害基礎年金2級に該当するかの判断ポイントや、就労していても受給できる可能性について詳しく解説します。
障害基礎年金2級の認定基準とは?
障害基礎年金2級は、「日常生活に著しい制限がある状態」であることが要件です。日本年金機構によると、単身での生活が困難、または介助が必要な程度の障害が基準となります。
ADHDの場合、衝動性や注意力の欠如によって、炊事・洗濯・金銭管理・対人関係などに支障があり、支援がなければ日常生活を送るのが困難なケースでは、2級が認定されることもあります。ただし、実際には非常にハードルが高いのが現状です。
就労していると2級は難しい?
多くの方が誤解しがちですが、「働いている=年金はもらえない」とは限りません。重要なのは、就労の内容や支援の有無、業務の安定性です。
たとえば、以下のような事情がある場合は、就労していても2級相当と認定される可能性があります。
- 配慮された職場で軽作業のみ
- 勤務時間が極端に短い(週2日程度)
- 職場で常時サポートを受けている
- 仕事以外の日常生活で著しい制限がある
一方、フルタイムで安定して収入を得ている場合、生活能力があると判断され、原則として2級認定は難しくなります。
厚生年金と基礎年金の違い
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。今回のケースでは、初診日が厚生年金加入前とのことなので、障害基礎年金のみが対象です。
障害厚生年金の場合は、3級という軽度の等級が設けられており、就労ができている状態でも受給できる可能性が高くなります。逆に障害基礎年金には1級と2級しかなく、2級の要件を満たさないと受給ができません。
日常生活能力の判定が重要
障害年金の審査では、「日常生活能力の判定表」と「障害状態確認届」が大きな判断材料となります。特に以下のような項目が評価されます。
- 身辺の清潔保持(入浴・洗顔・着替えなど)
- 食事の準備と摂取
- 金銭管理
- 対人関係の構築
- 買い物・薬の管理・通院の継続など
たとえば、部屋が片付けられない、料理ができない、衝動買いで金銭管理ができないといった点は、障害等級の参考になります。ただし、それらが日常的で深刻な支障となっていることを医師の診断書に具体的に記載してもらう必要があります。
診断書と医師の協力がカギ
診断書の内容が年金審査における最大の判断材料です。医師によって見解が異なることも多く、「就労できているなら2級は無理」と判断されがちです。
ですが、医師には就労の実態(業務内容、支援の有無、継続困難さ)を詳しく伝えることが大切です。診断書には「一般就労だが環境調整がなされている」「支援がなければ働けない」などの記述があると、認定の可能性が高まることもあります。
まとめ:フルタイム就労でも生活の実態次第で判断が分かれる
障害基礎年金2級は、就労の有無よりも、日常生活にどれだけ支障があるかが重要な判断基準となります。ADHDによって生活全般に深刻な困難がある場合、医師との連携を図りながら、正確な診断書を作成してもらうことが必要です。
一人で悩まず、障害年金に詳しい社労士への相談も検討してみましょう。無料相談を受け付けている窓口もあります。
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