給与支払報告書未提出のリスクとは？罰則と従業員への影響を専門家視点で解説

給与支払報告書は事業主が毎年必ず提出すべき法定書類ですが、未提出に気づかないまま放置されるケースもあります。提出義務を怠った場合にどのようなリスクがあるのか、実際に従業員にどんな影響が出るのかを整理して解説します。

給与支払報告書とは何か？制度の概要

事業主は、前年中に給与を支払ったすべての従業員について、市区町村へ給与支払報告書（総括表＋個人別明細書）を、翌年1月31日までに提出する義務があります。

退職者も年間支払額が30万円を超える場合は報告の対象です。市区町村ごとの提出が原則です。([参照]といったリンク)

地方税法第317条の7により、報告書を提出しなかったり虚偽記載を行った場合、事業主や担当者に対して1年以下の懲役または50万円以下の罰金といった罰則が科される可能性があります。([参照])

ただし、実際に検察に告発されるかどうかは自治体の判断であるため、必ず罰則が適用されるとは限りません。([参照])

提出が遅延または未提出となると、自治体の6月の賦課処理に間に合わず、住民税が一括徴収となる期間が短くなり、月々の天引き額が増える可能性があります。

結果として、従業員の負担が一時的に重くなり、経理部と従業員の信頼関係に影響を及ぼす可能性があります。([参照])

小規模な従業員数（4名程度）の企業で未提出が明らかになった場合でも、住民税の徴収滞りや問い合わせ対応が必要となり、社内混乱が起こり得ます。

自治体から指導が入る前に、自主的に報告書を提出し、従業員に事情を説明することで信頼回復につながるケースもあります。

給与支払報告書の提出は法的義務であり、未提出には罰則リスクがあります。加えて、従業員の住民税負担にも影響が出る可能性があります。

発覚後も適切に対応すれば、重大な法的制裁を避けながら社内の信頼関係を守ることが可能です。まずは速やかな報告書の提出と従業員への丁寧な説明を行いましょう。