厚生年金保険に加入し、毎月保険料が天引きされている方の中には「このまま何年か払い続けたら、将来どのくらい年金がもらえるのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、毎月の保険料が約23,000円で10年間納めた場合の年金受給額について、制度の仕組みや計算例を交えて解説します。
厚生年金の受給額はどう決まるのか
厚生年金の受給額は「平均標準報酬額」と「加入期間」に基づいて決まります。報酬比例部分と老齢基礎年金の2つから構成されており、会社員として働いた期間が長いほど、受給額が増える仕組みです。
毎月の給与から引かれる厚生年金保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけたもので、その半分を本人、半分を会社が負担しています。つまり、23,000円天引きされている場合、実際の標準報酬月額はおおよそ20万円前後であることが想定されます。
月23,000円を10年納めた場合の試算例
仮に標準報酬月額を20万円、加入期間を10年(120ヶ月)とした場合、報酬比例部分の年金額は次の計算式で求められます。
200,000円 × 5.481 / 1000 × 120ヶ月 = 約131,544円(年間)
さらに、老齢基礎年金については10年未満では原則受給資格がなかったものの、2017年の法改正により10年以上の納付期間であれば受給対象になりました。ただし、こちらは国民年金の納付状況に依存します。
老齢基礎年金部分は別途計算される
老齢基礎年金は国民年金に基づいて支給され、2024年度の満額は年間約795,000円です。しかし、10年間のみの納付では満額にはならず、約1/4相当の年間198,750円程度(=795,000円×10/40)が見込まれます。
このため、報酬比例部分と合算すると、年金受給額はおおよそ年間33万円前後、月額にすると約27,000円台になると考えられます。
短期加入でも年金はもらえるが少額になる
10年間という期間は最低限の受給資格を得るラインではありますが、生活を支えるには不十分な額です。特に自営業や非正規雇用など、厚生年金に加入していない期間が長い場合には、将来の備えとして個人年金やiDeCoなどの活用が重要になります。
また、配偶者が厚生年金に加入している場合は、遺族年金や加給年金なども考慮することで、トータルの老後収入を見積もることができます。
注意すべき点:納付額=受給額ではない
毎月23,000円を10年間納めた場合、本人の総支払額は約276万円です。しかし、受給額は生涯にわたり支払われるため、長生きするほど「元を取る」形になります。平均寿命まで生きた場合、受給総額は支払総額を上回るケースも珍しくありません。
ただし、年金制度は物価や賃金、少子高齢化の影響などで将来的に見直される可能性もあるため、早めのライフプラン設計がカギとなります。
まとめ:10年納付でも年金は受け取れるが生活保障としては不十分
毎月23,000円を10年間納めた場合、厚生年金の受給額は年額で30,000円台前半程度と見込まれます。10年間の加入でも年金は支給されますが、老後の生活を支えるには十分とは言えません。
厚生年金は「長く加入するほど有利」な制度です。将来の安心を手にするためにも、早期の資産形成や保険選びとあわせて、定期的な年金記録の確認を行うことが大切です。
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