年金を払っていない人は本当に多い？制度の仕組みと現実の声を解説

「年金は払うべき？」「実は払っていない人も多いのでは？」そんな疑問を抱く人が増えています。SNSなどで「年金未納」「支払い免除」の話を目にすることもあるかもしれません。この記事では、公的年金制度の仕組みと現実的な加入状況、未納者の背景などをわかりやすく解説します。

公的年金の仕組みと義務

日本の公的年金制度は「国民皆年金」と呼ばれ、20歳以上60歳未満のすべての国民に加入が義務付けられています。自営業者や無職の人は「国民年金」、会社員や公務員は「厚生年金」に自動加入となります。

保険料は毎月一定額を支払う必要がありますが、失業や低所得など経済的に困難な状況では「免除」や「猶予」制度も存在し、完全な未納よりも手続きをすることで将来の年金受給に繋げることができます。

厚生労働省のデータによれば、2022年度時点で国民年金の納付率は約70％前後で推移しています。つまり3割前後の人が何らかの理由で納付していないというのが実態です。

ただしこのうち多くは「免除・猶予」の申請をしている人で、まったく未納で放置している人は少数です。それでも一定数存在しているのは事実で、SNSなどでその声が可視化されやすくなったことで「多く感じる」一因となっています。

例えば専業主婦（第3号被保険者）であれば、夫が厚生年金に加入していれば自動的に年金制度に加入している扱いとなり、自身が直接保険料を納める必要はありません。

このため「年金は払っていない」と発言する人の中には制度上きちんとカバーされているケースも多く見られます。つまり「支払っていない＝未加入」とは限らないという点には注意が必要です。

年金未納が続くと、将来的に老齢年金を受け取るための資格（受給資格期間）を満たせなかったり、受給額が大幅に減少したりするリスクがあります。

また、障害年金や遺族年金といった万が一の保障も受けられなくなる可能性があるため、経済的に難しい場合は免除や猶予の制度を積極的に活用することが重要です。

SNSでは個人的な事情や極端なケースが拡散されやすく、事実が誇張されて伝わることもあります。「年金なんて払っても損」などの発言が目立つ一方、正確な制度理解や将来設計を元に判断している人は目立ちにくいのが現状です。

自分自身にとってどうするのがベストなのかを考える際は、公式の情報や信頼できる窓口（年金事務所や社会保険労務士）に相談するのが賢明です。

確かに年金を払っていない人も存在しますが、その背景にはさまざまな事情や制度上の理由があることも多く、一概に批判すべきものではありません。

自分の将来の生活を安定させるためにも、制度を正しく理解し、納付・免除・猶予の選択肢を検討することが大切です。SNSでの情報に惑わされず、自分の状況に即した行動を心がけましょう。