パート勤務をされている方にとって「年収106万円の壁」は非常に重要なポイントです。社会保険の加入義務や扶養からの外れ方、配偶者(夫)の税制上の影響など、知っておきたいことがいくつもあります。本記事では、年収106万円を超えた場合の社会保険の取り扱いや家計への影響について、わかりやすく解説していきます。
年収106万円を超えると何が起きる?
まず、従業員数101人以上の企業で勤務しており、以下の条件にすべて当てはまる場合、年収106万円(月額約8.8万円)を超えると社会保険(厚生年金・健康保険)への加入が義務になります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上
- 2カ月を超えて雇用見込みがある
- 学生ではない
該当する場合、扶養から外れて自身で保険料を負担することになります。
社会保険加入で手取りは減る?
社会保険に加入すると、保険料が毎月の給与から天引きされます。具体的には、健康保険料と厚生年金保険料を合わせて、月収の約14〜15%前後が差し引かれます。
例えば、月収9万円だとすると、保険料でおよそ1.3万円程度が引かれ、手取りは7.7万円前後になります。一見負担に見えますが、将来の年金額の増加や傷病手当金などのメリットもあります。
扶養を外れると夫の税金に影響する?
あなたが社会保険に加入しても、ご主人の所得税・住民税に直接の影響はありません。ただし、次の2点には注意が必要です。
- 所得税上の配偶者控除:あなたの年収が103万円を超えると「配偶者控除」が使えなくなり、141万円までの間は「配偶者特別控除」に切り替わります。
- 住民税:市区町村によっては配偶者控除が適用されなくなるラインが異なるため、年末調整や確定申告で確認が必要です。
つまり、あなたの年収が増えることで、ご主人の税負担がやや増加する可能性があります。
106万円の壁を超えて働くメリット・デメリット
デメリットとしては、社会保険料の自己負担が増え、配偶者控除が一部制限される点が挙げられます。しかし一方で、メリットも明確です。
- 将来の年金額が増える
- 健康保険から出産手当金・傷病手当金が受け取れる
- 雇用が安定しやすい
家計全体で見れば、年間トータルの可処分所得は減らないことも多く、特に長期的な視点では有利になるケースもあります。
よくある勘違い:130万円の壁との違い
「扶養内で働く」と聞くと130万円という数字をイメージする人も多いですが、これは「社会保険上の扶養」における壁で、配偶者の会社の健康保険制度に依存しています。
しかし、現在は従業員数が101人以上の企業に勤務していると、106万円の基準で強制加入になるため、130万円の壁は関係なくなるケースが増えています。
まとめ:扶養の範囲と収入のバランスを正しく理解しよう
年収106万円を超えると、パート勤務でも社会保険に加入する可能性がありますが、それに伴う影響は単純に「損」とは言えません。手取りは一時的に減るかもしれませんが、将来的な保障や年金額、そして安心感を得ることができます。
ご主人の税金に影響が出るケースもありますが、正しく把握して対策すれば家計全体の安定にもつながります。ライフプランに応じて「働き方の最適解」を見つけることが大切です。
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