パートやアルバイトで働く人にとって「130万円の壁」は大きな関心事です。2023年から導入された新たな特例により、収入が一時的に130万円を超えても扶養から外れないケースが出てきました。本記事ではその制度の内容と注意点、実際のケースに基づいた具体的な解説を行います。
「130万円の壁」とは何か
健康保険や年金の扶養に入っている配偶者が年間130万円を超えて収入を得ると、原則的に扶養から外れ、自分自身で社会保険に加入する必要が生じます。これがいわゆる「130万円の壁」です。
扶養を外れると保険料が発生し、手取りが減ってしまうことから、多くの人がこの収入ラインを気にしています。
2023年からの特例措置の概要
厚生労働省は2023年から、「一時的に130万円を超えた場合であっても、継続的に就労していると認められれば、扶養にとどまれる」という柔軟な取り扱いをスタートしました。
この特例は、社会全体の働き手不足への対応策でもあり、以下の要件を満たせば適用可能です。
- 収入増が一時的なものである
- 就労の継続性がある
- 事業主による確認書類の提出がある
実例で確認:140万円が2年続いた場合の扱い
仮に2023年と2024年にそれぞれ140万円の収入があった場合、その2年間は「一時的ではない」とみなされる可能性が高く、2025年に130万円以内に収めたとしても、2026年から自動的に再び特例が適用されるとは限りません。
特例の判断はあくまで事業主の証明と健康保険組合などの判断に基づくもので、2年間継続して130万円を超えていた場合は「恒常的な収入増」とみなされるリスクがあります。
特例の継続可否はどう判断されるのか
この制度は「一時的増加」の定義が明確ではなく、各健康保険組合の判断や書類内容により適用結果が異なります。
収入が毎年130万円を大幅に超えるような場合は、特例が適用されないと考えたほうが安全です。
2025年に130万円以内に戻しても、それが一時的減収とみなされるか、恒常的に戻ったとみなされるかで判断が変わるため、事前に会社の人事部門や健康保険組合に相談しておくのがベストです。
扶養内にとどまるための収入設計のコツ
- 130万円以内に調整する年を継続して2年以上続ける
- 収入管理は「交通費」や「賞与」も含めて厳密に
- 就労時間の記録も重要(週30時間未満が目安)
特例を安易に当てにせず、基準に沿った就労計画を立てていくことが大切です。
まとめ:特例は万能ではない、計画的な働き方を
130万円の壁の特例措置は柔軟ですが、「2年連続で130万円を超えた後に再度2年の特例が自動で得られる」制度ではありません。あくまで一時的な収入増加への救済措置です。
扶養を維持したい場合は、事前に収入を継続的に管理し、健康保険組合や会社への相談を欠かさないことが、賢明な対応といえるでしょう。
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