故人の年金を家族が勝手に引き出したらどうなる?遺族トラブルと法的対応を詳しく解説

年金

身内の死後、通帳や財産管理をしていた親族による金銭トラブルは少なくありません。とくに認知症の高齢者を親族が介護していた場合、「通帳を預かっていたから」「生活費として使っていた」などと曖昧な理由で金銭が引き出されるケースがあります。この記事では、故人の年金を無断で引き出した場合の法的な問題や、遺族としてできる対応策をわかりやすく解説します。

年金は死亡月までが受給対象|4月分は原則返還対象

公的年金(老齢年金・遺族年金・障害年金など)は、原則として「その月の末日時点で生存していること」が支給の条件です。つまり、3月に亡くなった場合、4月分の年金は受給資格がないため、本来は遺族が返還するべき公金となります。

この年金を他人が無断で引き出していた場合、「不正受給」とみなされ、後に日本年金機構から返還請求が行われる可能性があります。

通帳を預かっていた親族が勝手に引き出す行為の問題点

たとえ生前に故人が通帳や印鑑を親族に預けていたとしても、本人が死亡した時点でその口座は凍結対象となり、原則として遺族による「遺産分割協議」や「相続手続き」を経ないと引き出すことはできません。

このような行為は「遺産の無断持ち出し」または「窃盗」「横領」などに該当する可能性があります。実際に被害届が出されれば、警察が介入して調査・立件されるケースもあります。

相続人が取るべき対応|通帳返還と確認事項

まず行うべきは、口座からの出金履歴を確認し、不審な引き出しがないかを精査することです。既に警察介入により通帳が返還されている場合は、過去数ヶ月分の明細を取り寄せて調査しましょう。

明らかに故人死亡後の出金がある場合、次のステップとしては「家庭裁判所での遺産分割調停」または「民事訴訟(返還請求)」の検討が可能です。金額が大きい場合や、親族間の話し合いで解決できない場合は、弁護士への相談もおすすめです。

警察や法的機関に相談するタイミングとポイント

もし叔母が故意に引き出しを行っていたと疑われる場合、「遺族の同意なしに出金した」「使い道を説明しない」といった事実があるならば、被害届の提出を検討する価値があります。

ただし、刑事事件として動くには「明確な証拠」と「被害者(相続人)からの申告」が必要です。証拠保全のためにも、通帳・出金明細・日付・金額などのデータを整理しておくことが重要です。

こうした事態を防ぐための備えも大切

近年は高齢者の認知症や介護によって、親族による財産管理が増加しています。事前に「成年後見制度」や「任意後見契約」「家族信託」などを活用することで、こうしたトラブルの予防が可能です。

とくに親の認知症が進行している場合は、家族間の信頼だけでなく法的枠組みでの財産管理を検討することが、将来のトラブル回避につながります。

まとめ:故人の年金を勝手に引き出す行為は重大な問題

家族間であっても、故人の年金を無断で引き出すことは法的に大きな問題です。たとえ信頼されて通帳を預かっていたとしても、本人が死亡した時点で口座は相続財産となり、遺族の協議や法的手続きを経ずに使うことは許されません。

もし不正が疑われる場合は、出金履歴の確認、警察や専門家への相談、相続人同士の協議を進めましょう。大切な人の遺産をめぐるトラブルを未然に防ぐには、法的知識と冷静な対応が必要です。

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