傷病手当金を正しく受け取るための有給と欠勤の使い方:自宅療養時の注意点とは

社会保険

入院や手術後の自宅療養期間中に、有給休暇を使うべきか、それとも欠勤扱いにして傷病手当金を申請するべきか迷う人は少なくありません。健康保険から支給される「傷病手当金」は、一定の条件を満たすことで取得可能ですが、有給との関係を正しく理解しておかないと損をすることも。この記事では、傷病手当金を受けるために押さえておきたいポイントや、有給の使い方について解説します。

傷病手当金の基本条件と「待期3日間」のルール

傷病手当金を受け取るには、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 業務外の病気やケガによる療養中であること
  • 就労不能状態が連続して3日間以上あること(待期期間)
  • 4日目以降も働けない状態が継続していること
  • その間に給与の支払いがないこと

「待期3日間」は、連続していることが条件であり、有給でも欠勤でも構いません。ただし、有給を使った日には傷病手当金は支給されません。

有給を使うと傷病手当金はもらえないのか?

基本的に、有給休暇を使用した日数分については「給与が出ている」とみなされるため、傷病手当金の支給対象外となります。

そのため、たとえば療養期間が10日間ある場合、前半3日間を有給にして待期を満たし、残りの7日間を欠勤扱いにすることで、4日目以降に傷病手当金を申請することが可能になります。

ただし、会社の就業規則や給与体系によっては、待期期間中の有給取得が問題とされるケースもあるため、事前に人事部門や総務担当者に確認することをおすすめします。

有給3日+欠勤7日の具体的なシミュレーション

例えば、次のようなスケジュールで療養する場合。

日数 勤務区分 備考
1〜3日目 有給休暇 待期期間にカウントされるが手当金は対象外
4〜10日目 欠勤 傷病手当金の支給対象

このケースでは、有給によって待期を満たし、欠勤となる7日間分について、傷病手当金の支給申請が可能になります。1日あたりの支給額は、標準報酬日額の3分の2が目安です。

注意すべき点:会社との調整と診断書の準備

傷病手当金を申請するには、医師の意見が記載された診断書または傷病手当金支給申請書が必要です。また、勤務先の担当者の証明欄も必要になるため、会社との連携が非常に重要です。

会社によっては「有給を優先消化してほしい」と指示がある場合もありますが、社員側の判断で欠勤扱いとすることも可能です。自分にとって有利な選択ができるよう、社内制度をしっかり確認しましょう。

申請から支給までの流れと期間の目安

傷病手当金の支給までには、おおよそ次のような流れがあります。

  1. 主治医に傷病手当金支給申請書を記入してもらう
  2. 勤務先に記入依頼し、健康保険組合へ提出
  3. 審査・確認(1週間〜1か月程度)
  4. 支給決定後、指定口座へ入金

早めに申請を進めることで、経済的な不安を減らすことができます。提出先が全国健康保険協会(協会けんぽ)か、企業の健康保険組合かによっても対応スピードが異なるため、確認は必須です。

まとめ:有給と欠勤を上手に使い分けて、傷病手当金をしっかり受け取ろう

傷病手当金を受け取るためには、有給休暇の使い方が非常に重要です。有給であっても待期期間にはカウントされるため、前半3日間を有給にし、その後を欠勤にする方法は理にかなっています。

ただし、実際の取り扱いは勤務先や健康保険組合によって異なることもあるため、医師・会社・保険組合と事前にしっかり相談しておくことが安心につながります。

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