転職や退職などで一時的に健康保険証が手元にない状態でも、医療機関を受診することは可能です。その際は医療費をいったん全額自己負担で支払い、後日保険証を取得してから申請することで差額分が払い戻される仕組みがあります。この記事ではその手続き方法や注意点について詳しく解説します。
保険証がない状態での診察は可能か?
健康保険証が手元にない状態でも、医療機関での診療は受けられます。ただし、通常の自己負担3割ではなく、いったん全額(10割)を窓口で支払う必要があります。
たとえば、健康保険適用で3,000円の自己負担となる診療でも、保険証がない場合は10,000円程度を支払うケースがあります。
後から保険適用にできる制度とは?
診療時に保険証がなかったとしても、「療養費払い制度」を利用することで、差額分の払い戻しが可能です。これは、後から健康保険証を取得し、申請によって支払った自己負担を保険適用額に調整する制度です。
払い戻しは各保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市町村国保など)に申請し、所定の手続きを経る必要があります。
払い戻しに必要な書類と手続き
療養費払いを受けるために必要な書類は以下の通りです。
- 領収書(原本)
- 診療内容明細書
- 健康保険証(取得後の写し)
- 療養費支給申請書(保険者により様式が異なる)
- 本人確認書類、振込口座情報 など
手続きは加入している保険者(例:協会けんぽ、市区町村役場など)へ申請する形になります。申請から払い戻しまでには数週間かかるのが一般的です。
保険証の発行が遅れている理由と注意点
保険証の発行には一定の処理期間が必要です。特に、雇用保険や退職後の国民健康保険への切り替えなど、状況によっては1~2週間ほど時間を要することもあります。
病院の受診日までに間に合わない場合は、窓口でその旨を伝えて全額支払いし、領収書と診療明細を必ず保管しておきましょう。これが後日の払い戻し申請に必須となります。
実例:6月2日の診療を控えたケース
たとえば、6月2日に病院を受診予定だが、5月下旬時点で保険証が手元にないとしましょう。その場合は。
- ① 全額自己負担で診療を受ける
- ② 保険証が届いたら、加入先へ療養費支給申請を行う
- ③ 払い戻しを受ける(3~7割程度が返金)
保険証の交付日が6月2日以前になっていれば、その分の医療費は原則として還付対象となります。
まとめ:保険証が後からでも差額払い戻しは可能。領収書の保管を忘れずに
保険証が未交付の状態でも、医療費を一時立て替える形で診療を受けることは可能です。そして後日、保険証取得後に申請することで差額の払い戻しを受けることができます。
重要なのは、領収書や診療明細を必ず保管すること。また、加入保険者によって手続きや書類が異なるため、事前に問い合わせて準備しておくとスムーズです。
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