「今の時期に退職すると税金がどうなるのか不安」「退職月によって支払う税金や保険料に差が出るって本当?」――退職を検討中の人にとって、税金や社会保険料の扱いは見落とせない重要ポイントです。この記事では、退職時期と税金・保険料の関係について、月末退職・月中退職・年末退職などのパターン別にわかりやすく解説します。
まず押さえるべき3つの「退職で影響を受けるお金」
- ① 所得税:退職月までの給与総額に応じて源泉徴収されます。
- ② 住民税:前年の所得に基づいて課税されるため、退職の年に直接関係はないが、徴収方法が変わる。
- ③ 社会保険料:退職日(=社会保険の資格喪失日)によって、1か月分払うかどうかが決まる。
それぞれの仕組みを順に確認していきましょう。
所得税:退職時点までの累計給与で課税される
所得税は、毎月の給与から源泉徴収され、年末に年末調整で精算されます。退職が年の途中である場合、年末調整をしてもらえないため、税金を多く払った状態のままになることもあります。
この場合、翌年の確定申告で払いすぎた税金を還付してもらうことができます。逆に、退職金に関しては「退職所得控除」があるため、別計算です。
住民税:退職後も支払いは続くが、徴収方法が変更
住民税は前年の所得に応じて6月から翌年5月まで課税されます。そのため、退職の時期にかかわらず、前年の収入があれば必ず支払い義務があります。
退職月が6月〜翌年5月の場合は、残りの住民税が「一括徴収」されることがあり注意が必要です。これを避けるには、早めに退職を申し出て「普通徴収(自分で納付)」に切り替えてもらう必要があります。
社会保険料:月末退職と月中退職で支払いが変わる
社会保険(健康保険・厚生年金)は「資格喪失日がある月」に保険料がかかりません。逆に言えば、月末まで在籍していると、その月の保険料を全額支払う必要があります。
たとえば、7月15日に退職すると7月の社会保険料は不要ですが、7月31日退職だと7月分が丸々かかります。これにより、退職日が1日違うだけで数万円単位の差になることもあります。
ボーナス支給月の退職には要注意
賞与に対しても所得税・社会保険料が課税されるため、退職月にボーナスがある場合、手取り額が大きく目減りする可能性があります。
また、賞与が退職後に支給されるケースでは「退職者に支給しない」規定になっている企業もあるため、事前確認が重要です。
実例:退職日でどう差が出るのか?
例①:7月15日退職→7月分の社会保険料不要。住民税は翌月から普通徴収へ。確定申告で源泉徴収税の還付を申請。
例②:7月31日退職→7月分の社会保険料が発生し、給与から控除される。住民税は残月分を一括徴収される可能性。
例③:12月末退職→年末調整されるケースが多く、所得税の精算が済む。1月以降の住民税は自分で納付が必要。
まとめ:退職のタイミングで税金・保険料は大きく変わる
退職を検討しているなら、「退職する日が月末か月中か」「退職月が6月以降か」といった点に注意することで、税金や社会保険料の負担を最小限に抑えることができます。
特に、社会保険料の1か月分、住民税の一括徴収、年末調整の有無などは見落とされがちです。退職前に人事・経理担当と相談し、自分の状況に合わせた最適な時期を選ぶことが、経済的な損を防ぐポイントです。
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