中高年になってからの資産運用は、リスクを抑えつつ安定的に資産を増やすことが重要です。今回は、54歳で金融資産2,700万円を保有する方を想定し、今からでも取り組める無難な資産形成の方法について解説します。
今の資産状況を整理することが第一歩
まずは現在の資産内訳を明確にしておくことが大切です。例えば「預貯金1,200万円、国内株式800万円、投資信託700万円」といったように分類しておくと、リスクの偏りが見えてきます。
一般に、現金比率が高すぎるとインフレリスクにさらされ、逆に株式比率が高すぎると下落局面でダメージが大きくなります。適切なバランスを検討することが必要です。
基本は分散投資と長期運用
分散投資はリスクを抑えながら安定的な運用を目指す王道の戦略です。国内外の株式、債券、REIT(不動産投資信託)など複数の資産に分散しましょう。
たとえば、次のような資産配分が一例です。
- 国内株式:25%
- 外国株式:25%
- 国内債券・外国債券:30%
- 現金・定期預金:20%
これにより一つの市場の下落が全体に与える影響を抑えることができます。
インデックスファンドを活用した投資信託戦略
低コストで手間がかからず、プロに運用を任せられるインデックスファンドは特におすすめです。全世界株式(オルカン)やS&P500などを扱う投資信託は、成長性と安定性のバランスに優れています。
例として、「eMAXIS Slim 全世界株式」や「SBI・V・S&P500インデックスファンド」は長期投資家からの人気も高く、コスト(信託報酬)も業界最低水準です。
年齢を踏まえたリスク管理も重要
54歳という年齢から考えると、20年〜30年後の生活資金を想定してリスクを適切に取る必要があります。退職までの年数、年金受給のタイミングなども考慮して、運用と現金保有のバランスを保ちましょう。
生活防衛資金(生活費の1〜2年分)は現金で保有し、それ以外を運用に回すのが基本です。リスク許容度が低ければ、債券中心の安定運用型ポートフォリオにシフトしていく方法もあります。
iDeCoやNISAを活用した税制優遇制度
制度の活用も長期運用では非常に効果的です。たとえば、iDeCo(個人型確定拠出年金)は60歳までの掛金が全額所得控除され、節税効果が大きくなります。54歳で加入してもメリットはあります。
また、新しいNISA(成長投資枠・つみたて投資枠)を使えば、非課税で資産形成が可能です。年間の非課税投資枠内で計画的に投資を行うことで、将来の利益に税金がかからず、効率的に資産を増やせます。
定期的な見直しで運用の質を高める
運用方針を決めたら終わりではありません。半年〜1年ごとに資産状況をチェックし、リバランスを行うことでリスクの偏りを修正できます。
大きな経済の変動やライフスタイルの変化(退職、家族構成の変化など)があった場合も、柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。
まとめ:無理なく続けられる仕組みで、安心の資産形成を
54歳からでも遅くはありません。リスクを抑えながらも確実に資産を増やすには、分散・長期・制度活用がカギです。焦らず、一歩ずつ着実に運用していくことが、老後の安心につながります。
不安がある場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家に相談し、自分に合った運用方針を立てるのも良い選択です。
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