市民税滞納で自宅が競売に？差押えの優先順位とネットバンク口座の影響を解説

税金を滞納すると、市区町村は差押えや競売などの手段を使って回収を試みます。しかし、なぜ預金の差押えではなく、あえて不動産の競売を選ぶ場合があるのでしょうか？今回は、その理由や背景を解説します。

税金滞納と差押えの流れ

住民税などの地方税を滞納すると、市役所などの徴収担当が督促→差押え→公売（競売）という流れで回収を進めていきます。通常は、給与や預金など、すぐに現金化できる資産から差し押さえるのが基本です。

しかし、すべての資産が対象となるわけではなく、差押えの優先順位や調査の可否、財産の種類によって対応が異なります。

預金差押えは原則として本人名義の金融機関を特定できることが前提です。たとえば、メガバンクや地方銀行の口座であれば、自治体の照会で情報取得しやすいですが、ネットバンク（例：楽天銀行、住信SBIネット銀行など）は情報照会が難しいケースがあります。

このような理由から、ネットバンクに預金があると察知できない＝差押えが実行されないことがあります。結果として、容易に把握できる「不動産」が先に差押え・競売の対象となるわけです。

不動産は登記簿で所有者情報が明確になっており、市町村が容易に把握・差押えできる代表的な資産です。特に所有者が住んでいない、または売却価値が見込める場合には競売が選択されやすい傾向にあります。

また、家屋に対する固定資産税の滞納がある場合、その資産自体に差押登記を行い、強制的に売却（公売）する流れが取られます。これはネットバンク口座よりも、行政が実務的に動きやすい手段とされています。

まず最も重要なのは、納付できない場合は早期に役所と相談することです。状況を説明すれば、分割払いや滞納処分の猶予などの対応をしてもらえる可能性があります。

また、差押え前の段階であれば、所有不動産の売却や、知人からの借り入れによって納付してしまう選択もあります。競売になってしまうと、通常の売却価格よりも安く処分されるため、早めの行動が損失回避につながります。

以下のようなネットバンクでは、市役所が口座情報を把握するのが困難です。

これらの銀行に預金があっても、税務当局が調査に時間を要する、または手間がかかるため、対応が遅れる＝別の資産が先に狙われるという結果になるのです。

税金の滞納処分では、役所が把握できて差押えしやすい資産から手が付けられるのが基本です。預金よりも不動産が先になるケースは、見つけやすさや法的手続きの効率によるものです。

滞納が続くと財産の制限が厳しくなるため、なるべく早めに相談し、分割納付などの対応を取ることが賢明です。特に自宅など生活の拠点に関わる資産が対象になる前に、計画的に対処しておくことが大切です。