iDeCoを一時金で受け取るときの退職所得控除と課税の関係を徹底解説|過去の退職金との通算ルールにも注意

税金

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資産形成として非常に有効な制度です。しかし受け取り時には税制の知識が不可欠で、特に一時金として受け取る際は「退職所得控除」や過去の退職金との通算が課税に大きく関わります。本記事では、過去に退職金を受け取った方が、iDeCoを一時金で受け取る場合の課税関係とその注意点について解説します。

退職所得控除とは?iDeCo一時金にも適用される

iDeCoを一時金として受け取ると「退職所得」として課税され、「退職所得控除」が適用されます。退職所得控除は、勤務年数に応じて計算され、通常は以下のように算出されます。

  • 20年以下:40万円 × 勤続年数
  • 20年超:800万円+70万円 ×(勤続年数−20年)

この控除額を超える部分に対して課税されますが、過去に退職金を受け取っている場合、その時の控除額と通算して考慮する必要があります。

過去の退職金と通算されるルールに注意

退職金とiDeCo一時金の受取時期が「同一年」または「1年以内に連続して受け取った場合」は、原則として通算扱いとなり、控除額の二重適用ができません。これは税法上「退職所得控除は通算される」ルールのためです。

例えば、55歳で退職金1,310万円を受け取った場合、その際の退職所得控除(33年勤務)は1,710万円。この控除内に収まるため課税はゼロでしたが、3年後にiDeCoの一時金を受け取る場合も、その退職所得控除の一部をすでに使っていると見なされます。

実例でみる課税の考え方

以下は具体的な計算例です。

内容 金額
前回の退職金 1,310万円
退職所得控除(33年分) 1,710万円
再就職後の退職金 30万円
新たな控除(5年勤務) 200万円

この場合、退職所得控除は合算で「1,910万円(1,710万円+200万円)」となり、受け取った退職金の総額「1,340万円(1,310万+30万)」との差額570万円まで、iDeCo一時金で非課税にできる可能性があるという計算になります。

一時金で受け取るiDeCoの非課税限度額の目安

上記の通り、退職所得控除の未使用部分が「570万円」と仮定できるので、この金額までのiDeCo一時金は非課税で受け取れる可能性があります。

ただし、iDeCoの受取タイミングやその年の他の退職所得との調整も影響するため、実際には税理士や金融機関と具体的な試算をすることが推奨されます。

年金受取と一時金受取の併用のポイント

iDeCoは「一時金」と「年金」の併用が可能ですが、それぞれ課税の仕組みが異なります。一時金は退職所得扱い、年金は公的年金等控除の対象です。受け取る年によって税額も変動するため、どの年にどの方法で受け取るかも税負担に直結します。

たとえば、一時金は退職金とのバッティングを避け、年金は他の年金とのバランスを考えることで最適化が可能です。

まとめ:iDeCoの受け取り方は戦略的に設計を

iDeCoを一時金で受け取る場合、過去の退職金との関係で「退職所得控除の使い残し」が重要な判断材料になります。今回のように退職所得控除が十分に残っていれば、非課税枠570万円という見積もりは現実的です。

ただし、税制は複雑で微妙なケースもあるため、具体的な試算は税理士や専門機関との相談を通じて進めるのが安全です。資産を有利に受け取るためにも、事前の準備をしっかり行いましょう。

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