退職証明書の日付が例えば「11月25日」、ところが健康保険・厚生年金保険の資格喪失届を「12月1日」付で出した場合、実務的に問題が起こるのか悩む方も多くあります。この記事では、資格喪失日・保険料の月次扱い・提出期限などを整理し、付随して起こりうるリスクや回避策を解説します。
資格喪失日は「退職日の翌日」が原則
健康保険・厚生年金保険において、加入者が退職等により資格を失うときの資格喪失日とは、原則として“退職日の翌日”と定められています。([参照](https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20150407-02.html))
たとえば、11月25日付で退職した場合、資格喪失日は原則「11月26日」となります。月末退職による例外もありますが、事由発生日当日=喪失日としないため注意が必要です。([参照](https://www.kenpokumiai.or.jp/asp/faq/faq.asp?articleid=274))
月末退職・翌月1日喪失日の場合の保険料扱い
退職日が月末(例:11月30日)、資格喪失日が12月1日となるケースでは、資格喪失日が属する月=12月の前月=11月分までの保険料負担となります。([参照](https://onehr.jp/column/labor/social-insurance-retirement-end-month/))
つまり、11月25日退職のように月中であっても、喪失日が翌月となると、11月分保険料の支払いが発生する可能性があります。企業側で給与天引きや事務処理を調整する際には、この点を確認しておくことが重要です。([参照](https://hcm-jinjer.com/blog/kintai/social-insurance_retirement-day/))
喪失届提出期限と実務的な取り扱い
喪失届は、資格喪失日から5日以内に提出することが求められます。([参照](https://hrnote.jp/contents/roumu-shakaihoken-taisyoku-20220901/))
たとえば、11月25日退職で資格喪失日を11月26日とすると、喪失届提出期限は11月30日頃までというイメージになります。12月1日付で届を出すと、提出期限が過ぎている可能性があるため、遅延扱いになるリスクがあります。
「退職日」と「喪失日」がズレると起こる可能性のある影響
喪失日と実際の届出日・処理日がズレてしまうことで、次のような影響が出る可能性があります。
- 保険料の誤徴収・未徴収:喪失月がどこかによって、保険料の負担月が変わるため、過徴収/不足徴収が起こる恐れ。
- 被保険者証の使用期間があいまいになる:資格喪失日から保険証が使えなくなるため、病院窓口での扱いに齟齬が出るケースも。
- 縦続被保険者期間に空白が生じる可能性:新たな健康保険加入や国民健康保険への移行時に、期間連続性が問われる場面で不利になることがあります。([参照](https://jinjibu.jp/qa/detl/43398/1/))
ただし、実務的には「退職日が11月25日・翌日26日喪失」で扱われ、12月1日付で届出したとしても役所・健保組合側で許容されるケースもあります。とはいえ、明確にリスクがゼロとは言えません。
具体例:11月25日退職/12月1日喪失届提出のシナリオ
例:役員任期満了で11月25日退職。資格喪失日を12月1日として届出をしたとします。実際には、原則通り11月26日が喪失日と解釈されるため、11月分まで保険料発生となります。
この場合、11月25日退職ならば、保険料は10月分まで(月の途中退職なら前月まで)が望ましいという解釈に基づく処理もありますが、届出日が12月1日だと「11月分保険料も徴収対象」として扱われる可能性があります。
また、届出提出が12月1日であったとしても、手続き自体は受理されることが多いですが、添付書類の整備・保険料算定処理の観点から、事業主・担当者側に確認・説明責任が生じる可能性があります。
まとめ
退職日と社会保険の資格喪失日が異なる(11月25日退職→12月1日喪失日など)場合、原則として「資格喪失日は退職日の翌日」とされており、喪失届はその日を基準に5日以内に提出する必要があります。
そのズレがあると、保険料の支払対象月・保険証の有効期間・加入継続性などで不都合が起きるリスクがあります。実務上、許容されるケースもありますが、手続きは速やかに、かつ正確な日付で処理することが安心です。
事例にあたっては、労務・社会保険の専門家(社会保険労務士)に相談のうえ、書類の処理・保険料の取り扱いを確認しておくことをおすすめします。


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