年末調整や確定申告の時期になると、生命保険や医療保険に加入している方は「保険料控除」の申告を行います。ところが保険によっては、払戻金(配当や解約返戻金など)があるケースもあります。この記事では、保険料控除の申請にあたって払戻金がある場合の申告金額の考え方を、具体例を交えて解説します。
保険料控除の対象は「実質負担額」
生命保険料控除では、原則として「支払った保険料の総額」から「受け取った払戻金や配当金」を差し引いた金額を控除の対象とします。これにより、実質的に支払った金額が税務上の控除額となります。
例:年間2,000円の保険料を支払い、500円の払戻金があった場合 → 控除対象は2,000円 − 500円 = 1,500円
保険会社の「控除証明書」に注目
多くの保険会社は、年末に「保険料控除証明書」を発行します。この証明書には、払戻金や配当金などを考慮した控除対象額がすでに記載されています。そのため、基本的にはこの金額をそのまま記入するのが正しい方法です。
税務署や会社に提出する際も、この証明書を添付または提示することで、計算根拠が明確になります。
よくある勘違い:払戻金は別で申告する?
「払戻金は雑所得になるのでは?」と不安に思う方もいますが、年間の配当金や払戻金がごく少額(数千円)であれば、原則として雑所得として申告する必要はありません。
保険料控除においては、控除対象額から差し引くだけで完了するケースがほとんどです。
複数の保険に加入している場合の注意点
複数の保険に加入している場合、それぞれの控除証明書に記載された控除対象額を合算し、控除限度額(生命保険:最大4万円、介護医療保険:最大4万円、個人年金保険:最大4万円)内で申告します。
合計額が限度額を超える場合は、税務上は超過分が切り捨てられます。
申告ミスを防ぐためのチェックリスト
- 控除証明書の金額をそのまま記入する
- 払戻金があったかどうかを確認する
- 証明書が届かない場合は保険会社に連絡を
- 限度額を超えても全額控除できるわけではない点に注意
申告内容に誤りがあると、後日修正の手間がかかるため、正確な金額を確認しておきましょう。
まとめ:払戻金がある場合は差し引いた額で申告するのが基本
保険料控除を申告する際は、払戻金を差し引いた「実質の支払い額」が控除対象となります。控除証明書に記載されている金額を確認し、そのまま正しく申請することで、ミスなく税制優遇を受けることができます。制度を理解し、適切に活用することが節税の第一歩です。
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