パートやアルバイトなどで働く場合、「自分が社会保険に加入しなければならないのかどうか」というのは重要な関心事です。特に、一定期間だけ収入が増えたときや勤務時間が変動した場合に、どのような基準で加入が義務付けられるのかを知っておくことは、安心して働くうえで大切です。この記事では、社会保険の加入基準やその適用条件について、わかりやすく解説します。
社会保険の加入義務が生じる基本条件
社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務は、基本的に以下の2つの条件を満たす従業員に適用されます。
- 勤務先が社会保険の適用事業所である
- 所定労働時間と所定労働日数が、正社員の3/4以上である
この「3/4要件」に該当する人は、原則として社会保険に加入が必要となります。ただし、近年は短時間労働者でも加入義務が生じるケースが増えています。
週20時間以上・月収88,000円以上がカギとなる場合
平成28年の法改正以降、以下の5つの条件をすべて満たすと、3/4未満のパートやアルバイトでも社会保険加入が義務となります。
- 週の労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上(年収約106万円以上)
- 1年以上の雇用見込みがある
- 学生でない
- 従業員数が常時101人以上の企業で勤務している
この条件は「106万円の壁」とも言われ、多くの短時間労働者が影響を受ける基準となっています。
3カ月間88,000円以上の収入が続いた場合の扱い
「一時的に3カ月連続で月収88,000円以上だった場合でも、社会保険加入の対象になるのか?」という疑問については、雇用契約上、今後も同水準の収入が継続する見込みがあるかが判断材料となります。
つまり、たまたま3カ月だけ収入が高かった場合ではなく、その後も88,000円以上が続くと会社が判断すれば、社会保険加入の手続きが進められる可能性があります。
実例:月収102万円・週20時間以下の場合
たとえば、年収が102万円、月の勤務時間が20時間未満という条件で働いていたとしても、月給88,000円以上が3カ月続いたという状況があれば、勤務先から社会保険加入の確認が入る可能性があります。
しかし、月20時間未満かつ契約上もそれが継続する見込みであれば、週20時間の要件を満たさないため、加入対象外と判断されるケースも多いです。勤務時間の実績と今後の契約内容がポイントになります。
加入対象になるかどうかの判断基準と対策
社会保険に加入するか否かは、会社側が労働条件をもとに判断します。疑問がある場合は、労務担当者や人事部門に直接確認するのが最も確実です。
また、「自分は加入したくない」と思っても、法的に加入義務があると判断された場合は、原則として会社は加入手続きを行う必要があります。逆に、誤って加入対象外となっているケースもあるため、自己判断に頼らず情報をしっかり確認しましょう。
まとめ:継続的な労働実態が加入の判断材料になる
社会保険の加入は、単月の収入や勤務時間だけでなく、「今後も同様の働き方が続くか」が大きな判断材料です。週20時間未満や一時的な高収入であれば加入義務が発生しないこともありますが、条件次第では対象になることもあるため注意が必要です。
加入の可否に不安がある場合は、勤務先の人事担当者や社会保険労務士への相談をおすすめします。
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