自動車保険の等級制度は、無事故を続けることで割引率が上がる仕組みであり、特に20等級ともなると大幅な保険料の節約が期待できます。本記事では「親の契約で記名被保険者だった自分が、新たに契約者となり、等級を引き継ぐにはどうすればよいのか?」という点を、実務的な手順を交えて解説します。
等級の基本ルールをおさらい
任意保険の等級制度は、契約者が継続して無事故を重ねることで等級が1年ごとに1等級上がる制度です。20等級は最上級であり、保険料が最大割引になります。
記名被保険者が実際に運転する人である一方で、等級の所有者は「契約者」となるため、等級を引き継ぐには契約者の変更とその条件をクリアする必要があります。
記名被保険者→契約者への等級引き継ぎ条件
等級を引き継げるのは原則として「同居の親族間」であり、以下の条件を満たしている場合に限ります。
- 親(契約者)が実際の運転者(記名被保険者)を子にして20等級契約していた
- 子が親と同居している、または過去に同居していた
- 子が親の保険を引き継ぐ意志がある
さらに、車両入替や契約名義変更の際に、保険会社へ「記名被保険者からの引き継ぎ申請」を出す必要があります。
実際の引き継ぎ手順
1. 親の契約(A車)で、子が記名被保険者として20等級にしている。
2. 子がB車を購入し、保険契約者として自分名義で新規加入を希望する。
3. A車の売却や抹消登録などで契約を終了し、B車に等級を移す。
4. 保険会社に「記名被保険者引き継ぎ」の申請を行い、20等級のまま移行してもらう。
重要:この手続きは契約期間が重ならないようにすることが必要です。重なってしまうと別契約と見なされ、等級は初期の6等級から始まってしまいます。
保険会社による違いと注意点
多くの大手損保会社(三井住友海上、東京海上日動、損保ジャパンなど)はこの「親から子への等級継承」制度を設けていますが、手続きの詳細は会社ごとに異なります。
具体的には「継承申請書」や「親族関係証明(住民票等)」の提出が求められることもあります。Web申し込みでは対応できず、代理店やカスタマーサポートを通しての申し込みが必要になるケースが多いです。
実例:実際に引き継いだケース
26歳の男性Cさんは、大学卒業後も実家で生活し続けており、親が契約者の車で5年間無事故運転を継続。今回独立に伴い車を購入し、自分名義で保険契約を結ぶにあたり、親から20等級をそのまま引き継ぐことに成功しました。
引き継ぎ手続きは保険代理店に相談し、旧車の契約終了後すぐに新車に適用。保険料は年額12万円から6万5千円にまで減少しました。
まとめ:等級は財産、失わずに賢く引き継ごう
任意保険の等級は長年の無事故運転の証でもあり、節約効果の大きな財産です。親が契約者で自分が記名被保険者だった場合でも、一定条件を満たせば自分名義に20等級をそのまま引き継ぐことが可能です。ポイントは「契約の重複を避ける」「保険会社へ早めに相談する」こと。正しい手順を踏めば、大きな保険料節約が叶います。
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