同じ会社に勤め、年収もほぼ変わらないのに、なぜか夏のボーナスの所得税が冬よりも高い――そんな疑問を抱いたことはありませんか?実は、ボーナスの所得税額は単純な「金額」や「年収」だけでは決まりません。本記事では、その仕組みや要因を詳しく解説し、納得できる理由をご紹介します。
ボーナスの所得税は「社会保険料率」と「月額表」が基準
ボーナスにかかる所得税は、給与所得の源泉徴収税額表(賞与に対する税額の計算方法)に基づいて計算されます。これは月々の給与にかかる税金とは別の計算方法が用いられています。
具体的には、ボーナス支給時点の直近の給与から算出された「社会保険料控除後の金額」と、「扶養親族等の数」をもとに、国税庁が定めた早見表を参照して所得税が決まるため、冬と夏で控除額や扶養人数が変わっていなくても、結果的に差額が出ることがあるのです。
冬と夏で「標準報酬月額」が異なる可能性
標準報酬月額は、健康保険・厚生年金など社会保険料の計算基準となる金額です。実際の支給額に応じて年1〜2回更新されるため、冬と夏で手取りや控除額が違う原因となり得ます。
たとえば、4月〜6月の給与が高ければ、7月以降の社会保険料が上がり、結果としてボーナスの所得税にも影響を及ぼします。これは「定時決定(算定基礎届)」によって決定される制度的な動きです。
扶養人数の変更や年末調整の影響も考慮すべき
もし冬のボーナス支給前に家族構成に変更があった場合(例:子どもが生まれた、配偶者の扶養に入ったなど)、その時点の扶養控除人数に応じて課税額が変わります。
また、年末に近づくと、会社が年末調整の一環として源泉徴収税額を調整するため、冬のボーナスにかかる税額が変動することもあります。一方で、夏のボーナスは年末調整の影響を受けにくく、純粋に月額表で課税されるため高く見えるケースもあります。
源泉徴収税率の固定ではなく実績に応じた税額
よく誤解されるのが、「ボーナスにも一定の税率がかかる」と思っているケースです。しかし実際には、直近3ヶ月の平均支給額をもとに、税率が調整されています。
このため、残業代や歩合などで直近の給与が高かった場合、夏のボーナスの課税額も増える可能性があります。これは一時的な上昇であり、年末調整で清算されることがほとんどです。
住民税や社会保険料との混同に注意
所得税とよく混同されがちなのが「住民税」や「社会保険料」です。住民税は前年の所得に基づいて6月以降の給与から引かれ始めるため、6月支給のボーナスに住民税が加算されたと錯覚することもあります。
ただし、ボーナスから住民税が引かれるケースは少数で、主に月給から天引きされます。とはいえ、総支給額や手取りに影響する要素としては無視できません。
まとめ:夏のボーナスの所得税が高いのには明確な理由がある
年収が変わらなくても、夏と冬でボーナスの所得税額が異なるのはごく自然なことです。要因としては、標準報酬月額の変動、扶養人数の変更、直近給与の変動、年末調整の影響などが挙げられます。
いずれにせよ、最終的には年末調整や確定申告で過不足が調整されるため、必要以上に心配する必要はありません。不明点があれば、会社の給与担当者や税理士に相談してみると安心です。
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