退職や転職などで企業型確定拠出年金の加入資格を失った場合、移管の手続きが必要になります。しかし「iDeCo(個人型確定拠出年金)はやりたくない」「管理も投資も不安」と感じる人も少なくありません。この記事では、企業型確定拠出年金を放置した場合に起こるリスクや、iDeCoを使わずに済ませる方法について詳しく解説します。
企業型DCの「自動移管」とは何か?
企業型確定拠出年金(DC)に加入していた人が、退職後に手続きをしないまま放置していると、6ヶ月後に「自動移管」という扱いになります。これは、国民年金基金連合会に運用資産が預けられる制度ですが、以下のような問題点があります。
- 運用はされず、金利はほぼゼロ
- 管理手数料(年1,000円超)が差し引かれる
- 加入者本人が資産状況を確認しにくい
つまり、自動移管されたままにしておくと、資産価値が年々目減りしてしまいます。
iDeCoに移さないとどうなる?本当に選択肢はないのか
原則として、企業型DCを継続できない場合は、以下のいずれかの制度へ資産を移換する必要があります。
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 転職先の企業型DCへ移換
- 企業年金連合会(DBがある企業からの退職時)
このうちiDeCo以外の選択肢は、企業による制度の有無に依存します。つまり、「転職先に企業型DCがない」または「公務員・主婦になった」などの場合、iDeCoが実質的な唯一の受け皿となるケースが多いのです。
「やりたくない」「不安」と感じるときに知っておきたいこと
iDeCoには「毎月5000円以上積み立てないといけない」というイメージがありますが、実は0円積立(掛金停止)でも口座維持が可能です。
つまり、「拠出はしたくないけれど資産管理のために移す」という選択も可能です。手数料は発生しますが、自動移管よりは大幅にコストが抑えられ、資産管理もオンラインでできます。
iDeCoの手続きをしたくない場合の現実的リスク
iDeCoに移換しなかった場合、自動移管による手数料で資産が徐々に減り、数年で元本を割る可能性があります。また、自動移管されてしまうと、60歳まで資産の引き出しも一切できません。
さらに、自動移管された状態のままだと、将来iDeCoを始める際に手続きが複雑化し、移換元を特定する手間が増えることもあります。
迷っている人におすすめの対応策
「iDeCoをやりたくないけど、資産が減るのも嫌だ」という方には、以下のような段階的対応をおすすめします。
- まずは掛金ゼロでiDeCo口座だけ開設し、資産を移換
- 運用先は元本保証型など安全資産を選択
- 必要であれば将来的に拠出を開始(任意)
これにより、投資リスクを取らずに、資産を保全するという対応が可能になります。
まとめ:放置よりも「最低限の移換」を
企業型DCの資産を自動移管で放置すると、資産が目減りするリスクが高くなります。「投資はしたくない」「iDeCoに不信感がある」と感じていても、最低限の手続きとして、iDeCo口座を開設し掛金ゼロで資産移管するのが現実的な対処法です。
老後資産を守るためにも、ぜひ早めの対応を心がけましょう。
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