高年齢になっても働き続けたいと考える方にとって、「高年齢雇用継続給付」は重要なサポート制度です。しかし、いったん退職し失業給付を受けた後、別の会社に再就職した場合でもこの給付は対象になるのか？という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、その条件や注意点をわかりやすく解説していきます。
高年齢雇用継続給付とは何か？
高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満の雇用保険加入者が、賃金が60歳到達時よりも75％未満に下がった状態で就労を継続した場合に、差額を補うような形で支給される制度です。雇用保険に加入しており、かつ一定の支給要件を満たしている場合に限られます。
たとえば、60歳時点で月収30万円だった人が再雇用により20万円に減った場合、減額分の一部を補う目的で支給されるのがこの給付です。
一度退職・失業保険を受給した後でも対象になるの？
結論としては、「一定条件を満たせば再就職後も高年齢雇用継続給付の対象になり得る」ということです。
ただし、以下のような条件を満たす必要があります。
- 再就職先で雇用保険に加入していること
- 60歳以降の賃金が、60歳到達時の賃金の75％未満であること
- 過去5年間で通算して2年以上の被保険者期間があること（退職前を含めてカウント可能）
- 高年齢雇用継続給付をすでに満額（最大5年）受け取っていないこと
また、失業保険（基本手当）の受給と重複しては支給されませんが、失業保険の受給が終了した後に再就職した場合は、新しい就職先での条件次第で再度給付対象となる可能性があります。
実際の再就職ケースの例
たとえば、Aさん（62歳）が前職を退職後に失業保険を3カ月間受け取り、その後、別会社に正社員で再就職。新しい会社では月収が以前の75％以下だったため、再就職先での雇用保険加入が確認された後、高年齢雇用継続給付が支給されました。
一方で、Bさん（64歳）は同じように退職と再就職をしたものの、再就職先がアルバイト契約で雇用保険の加入要件を満たさず、給付対象外となりました。
申請の流れと必要書類
再就職後に高年齢雇用継続給付を申請するには、再就職先の事業主を通じてハローワークに申請します。必要な書類は以下の通りです。
- 高年齢雇用継続給付支給申請書
- 賃金証明書（再就職先からの提出）
- 出勤簿や賃金台帳の写し
- 本人確認書類・印鑑・雇用保険被保険者証など
申請は基本的に2カ月ごとに行い、その都度支給要件を満たしているかがチェックされます。
注意すべき点と制度の限界
高年齢雇用継続給付はあくまで「雇用を継続していること」が前提であるため、再就職先が雇用保険に加入していない場合、給付対象外となることに注意が必要です。
また、支給期間には上限があり、「60歳から65歳までの5年間」が最大支給期間となります。この期間を超えた場合、たとえ条件を満たしていても受給はできません。
まとめ：再就職後もチャンスあり、まずは条件確認を
高年齢雇用継続給付は、60歳を過ぎてからも働き続ける方への重要な支援制度です。一度退職しても、再就職後に条件を満たせば再度支給対象となる可能性があります。特に再雇用や新たな会社での勤務を検討している方は、再就職先での雇用保険加入の有無や給与水準を確認することが大切です。
詳細な条件や申請手続きについては、お近くのハローワークや社会保険労務士に相談するのが安心です。
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