会社を辞めて失業保険を申請したのに「受給資格がない」と言われた――そんな事例は一見レアケースのように思えますが、実は一定数存在します。この記事では、正社員として長年勤めていたにもかかわらず失業給付を受けられない場合がある理由と、その背景にある制度上のポイントを解説します。
受給資格の基本条件を確認しよう
失業給付を受けるには、雇用保険に「加入していたかどうか」だけでなく、「受給資格に必要な被保険者期間」や「働いた実態」が伴っているかどうかも問われます。
一般的な自己都合退職の場合、以下の条件を満たす必要があります。
- 離職日以前の2年間に、被保険者期間が12か月以上ある
- 各月で賃金支払いの対象となる労働日数が11日以上、または80時間以上ある
つまり、正社員であっても長期間病欠や休職をしていた場合、「実働」が要件に達していない可能性があるのです。
「勤怠の要件を満たしていない」とは?
失業給付の資格判定で最も多いのが「実労働日数が足りない」という理由です。これは、雇用契約上の正社員かどうかではなく、実際に働いた日数や時間が基準になります。
例えば、産休・育休・長期療養・無給休職などが多く、賃金支払対象日数が足りなかった場合、勤続年数に関係なく「受給資格なし」と判定されることがあります。
正社員でも「受給資格なし」は珍しくない?
社保完備であっても、休職が長期化した場合や実際の出勤日数が少なかった場合には、雇用保険の「実質的な被保険者期間」に該当しないことがあります。
特にコロナ禍以降、体調不良による休職や時短勤務の影響で要件を満たさなくなるケースも見受けられます。これはレアケースではなく、制度の仕組みを知らないまま該当してしまう人が少なくないのです。
受給資格に疑問があるときの確認方法
納得がいかない場合、次のような方法で詳細を確認することができます。
- 雇用保険の「被保険者期間一覧表」の開示をハローワークに求める
- 会社の勤怠記録と給与明細を突き合わせる
- 出勤簿やタイムカードのコピーを用意し、再調査を依頼する
申請時の窓口担当者の説明不足で誤解が生じることもあるため、丁寧に確認することが重要です。
その他の給付制度や救済措置はある?
万が一、失業給付の受給資格がなかったとしても、以下の制度が利用できる場合があります。
- 健康保険の傷病手当金(病気休職中だった場合)
- 生活保護制度(生活困窮の場合)
- 求職者支援制度(職業訓練と手当)
生活支援の選択肢は複数ありますので、自身の状況に合った制度の確認をおすすめします。
まとめ:形式よりも実態が重視される雇用保険制度
雇用保険に加入していたからといって、必ずしも失業給付が受けられるわけではありません。正社員であっても、実働日数や賃金支払いの有無といった「勤怠の実態」が重要視されます。
疑問がある場合は、ハローワークや労働基準監督署などの公的機関に相談し、納得のいく説明を受けることが重要です。制度を正しく理解し、次のステップに進むための準備をしておきましょう。
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