自動車保険の本人限定特約と他車運転特約の関係を正しく理解する

自動車保険にはさまざまな特約があり、その中でも「本人限定特約」と「他車運転特約」は混同されやすいものの一つです。特に友人に車を貸した際の事故に関して、どちらの保険が適用されるのかは、保険契約の内容をしっかり理解する必要があります。

本人限定特約とは何か

「本人限定特約」は、その車両を運転する人を「記名被保険者本人のみに限定する」というものです。この特約をつけることで保険料は抑えられますが、本人以外の運転による事故は補償対象外になります。

たとえば、契約者の友人や配偶者、家族が運転中に事故を起こしても、本人限定特約が付帯されていると、保険は一切使えません。この点は非常に重要です。

一方、「他車運転特約」は、自分が他人の車を借りて運転中に事故を起こした際に、自分が契約している自動車保険を使えるという仕組みです。つまり、これは「車を借りた側の保険」が適用される特約です。

注意すべきなのは、貸した車の保険ではなく、運転していた人の自動車保険にこの特約がついているかがポイントとなります。

ケース①：Aさんが本人限定特約付きの車を所有し、友人Bさんに貸した。Bさんが事故を起こしたが、Bさんの自動車保険に「他車運転特約」があった。

→ この場合、Bさんの保険で補償可能。ただし、Bさんが日常的にAさんの車を使用していた場合など、一部除外されるケースもあるので、事前に確認が必要です。

ケース②：Bさんが保険未加入。Aさんは本人限定特約付き。

→ この場合、どちらの保険でも補償されない可能性が高く、全額自己負担になる可能性があるため、非常にリスクが高い状況となります。

保険会社や契約内容によっては「借りた車が営業用やレンタカー、日常的に使用されている車両」など、補償が除外されるケースもあるので、事前に問い合わせるのが安心です。

車を貸す・借りる前には、口約束だけでなく、リスクや保険内容をしっかりと確認し合うことが大切です。保険に加入しているから安心という認識ではなく、「どの保険が、誰に、どんな場面で適用されるか」を正しく理解しましょう。

本人限定特約の車を他人が運転する場合、その車両の保険は使えず、事故を起こした人の保険に「他車運転特約」がついていれば補償される可能性があります。ただし、条件や制限もあるため、安易に車を貸し借りすることは避け、事前確認を徹底することが重要です。