うつ病や適応障害などで休職を経験し、職場復帰後に再度体調を崩してしまうことは、決して珍しいことではありません。この記事では、過去に傷病手当を受給した方が、再び休職した場合に「もう一度傷病手当金を受け取れるのか?」という疑問に対して、制度の仕組みとポイントを解説します。
傷病手当金とは?制度の基本をおさらい
傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガで働けなくなったときに、給与の支払いがない場合に一定額が支給される制度です。
支給される条件は次の4つです。
- 業務外の病気やケガであること
- 労務不能であると医師に判断されていること
- 会社を連続して3日以上休んでいること(待期期間)
- 給与が支払われていないこと
上記の条件をすべて満たすことで、4日目以降から支給が始まります。
過去に支給を受けた人が再度申請できるか?
結論から言うと、同じ病気(例:うつ病や適応障害)でも「前回の支給開始日から1年6か月以内」であれば、同じ支給期間の中で支給可能です。
一方で、前回の支給開始から1年6か月以上経過している場合は、新たな傷病として再申請が可能になることがあります。
つまり、傷病手当金の支給は「1つの傷病につき最長1年6か月間」が原則ですが、「前回とは別の原因による再発」または「治癒後の再発」であれば新たな支給期間として扱われることがあります。
今回のケースに当てはめてみる
例:
・前回の傷病手当金支給期間:2023年7月12日~9月1日
・その後治療終了:2024年9月
・今回の症状発症:2025年5月(6月から休職)
この場合、前回の支給開始日(2023年7月)からはすでに1年10か月以上が経過しています。そのため、「別の傷病」または「治癒後の再発」と認定されれば、新たに傷病手当金を申請できる可能性が高いです。
ただし、病名が同じ「うつ病」などであっても、医師が「前回とは別の発症原因である」または「一度治癒してから再発した」と診断していることが重要になります。
申請の際に注意すべきポイント
傷病手当の再申請にあたっては、以下の点を事前に確認しておきましょう。
- 主治医に「治癒後の再発」として診断書を書いてもらえるか確認する
- 職場から「休職証明」や「勤務状況証明」をもらう
- 会社の健康保険組合(または協会けんぽ)に早めに相談する
特に精神疾患の場合は「継続」と「再発」の判断が微妙なこともあるため、医師の所見や診断書の記載が支給判断を大きく左右します。
まとめ:再発でも一定の条件を満たせば再び傷病手当がもらえる可能性あり
傷病手当金は、同じ病気であっても治癒後に再発した場合は、再度支給対象となる可能性があります。今回のように前回の支給開始から1年6か月以上経過しており、医師の診断で「再発」と認定されるのであれば、改めて申請することができます。
不安な場合は、まずは会社の総務や健康保険組合に相談し、主治医にも現在の症状について正確に伝えて、診断書を準備するところから始めてみましょう。
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