サラリーマンから個人事業主へとキャリアチェンジする際、多くの人が直面するのが「社会保険・税金・収入空白」の問題です。特に現職を継続しながら副業的に新たな道を模索する場合、保険制度や節税の観点からどう行動するのがベストなのか悩みがちです。この記事では、研修期間を含めた空白の収入対策、社会保険の扱い、開業後の掛け持ち可否などを整理し、手取りを最大化する働き方の選び方を解説します。
個人事業主になる前の「空白期間」をどう乗り切るか
アルバイト収入が後払い、かつ社会保険未加入で収入空白期間がある場合、重要なのは「社会保険を確保しながら最低限の収入を維持する」ことです。
現在の正社員勤務(タクシー運転手)が社会保険に加入できる「月10日出勤」条件を満たすなら、これを維持したうえで研修に参加するのがもっともリスクの少ない選択です。これにより、健康保険・厚生年金を確保しながら、研修収入は所得税の対象となるのみで、社会保険料は掛かりません。
一時的にアルバイトに切り替えてしまうと、国保・国民年金への加入が必要となり、負担額が跳ね上がるため注意が必要です。
開業後も社会保険に加入できるのか?
個人事業主として開業届を出した場合、原則として厚生年金・健康保険の対象外となり、国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。
ただし、開業後も現職を続け、「社会保険加入条件(月10日以上勤務・所定労働時間の2分の1以上)」を満たす場合は、その会社の社会保険に引き続き加入することが可能です。
このケースでは、事業収入が副業扱いとなり、メインはあくまで被雇用者としての扱いとなります。そのため、現職での社会保険を活かしつつ、個人事業収入については確定申告により所得税を納付するスタイルが可能です。
国民健康保険と社会保険のコスト比較
個人事業主が国保+国民年金を選択する場合と、会社員として社会保険に加入し続ける場合とでは、保険料負担に大きな差が出ることがあります。
区分 | 社会保険(厚生年金・健康保険) | 国保・国民年金 |
---|---|---|
年金種類 | 厚生年金(将来受給額多) | 国民年金(定額) |
医療保険 | 健康保険(傷病手当・出産手当あり) | 国民健康保険(手当なし) |
保険料 | 給与比例+折半 | 前年所得に応じて全額自己負担 |
開業直後の所得が少ないうちは国保でも保険料負担は小さめですが、所得が増えると急に負担が重くなるため、社会保険を継続できる働き方が結果的に得になることもあります。
収入面を最大化するための戦略
掛け持ちで最大限お金を手元に残したいなら、以下のポイントを押さえて行動しましょう。
- 現職の社会保険加入条件(月10日以上)を守る
- 研修期間中のアルバイト収入は雑所得として記録
- 開業後も現職を継続し、保険適用を維持
- 青色申告を選択し、必要経費を適切に計上
- 所得が増えてきたら税理士に相談し節税策を構築
特に青色申告を活用すると、最大65万円の控除を受けられるうえ、家族への給与支払い(専従者給与)や自宅の一部を事務所として経費計上するなど、節税の幅が広がります。
まとめ:切り替え時期と社会保険の維持がポイント
サラリーマンから個人事業主への移行においては、「収入がない時期の保険確保」と「今後の保険・税金の選択」がカギとなります。現職の社会保険をうまく活用しながら、副業として個人事業をスタートし、徐々に軌道に乗せる働き方が最もリスクが少なく、金銭面でも有利です。
制度は複雑に見えますが、ポイントを押さえれば意外とシンプルです。不安がある場合は、区役所の年金課や年金事務所、または税務署・税理士に相談しながら、最適な形を整えていきましょう。
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