近年、働き方の多様化に伴い、年収の壁と呼ばれる制度が注目されています。特に「106万円の壁」の撤廃が議論されており、これが国民健康保険に加入している方々にどのような影響を及ぼすのか、気になるところです。本記事では、106万円の壁の概要とその撤廃による影響について詳しく解説します。
106万円の壁とは?
「106万円の壁」とは、年収が106万円を超えると、一定の条件下で社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が生じる制度を指します。具体的には、以下の条件をすべて満たす場合に適用されます。
- 勤務先の従業員数が51人以上
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が8万8,000円以上
- 雇用期間が2カ月を超える見込み
- 学生でない
これらの条件を満たすと、社会保険への加入が義務付けられ、保険料の支払いが発生します。
106万円の壁撤廃の背景と目的
政府は、短時間労働者の社会保険加入を促進するため、106万円の壁の撤廃を進めています。これにより、より多くの労働者が社会保険に加入し、将来的な保障を手厚くすることが目的とされています。
2026年10月からは、企業規模要件が撤廃され、すべての企業で上記の条件を満たす労働者に対して社会保険加入が義務付けられる予定です。
国民健康保険加入者への影響
国民健康保険に加入している方が、上記の条件を満たす場合、勤務先の社会保険に加入することになります。これにより、国民健康保険から脱退し、勤務先の健康保険に切り替わることになります。
社会保険への加入により、保険料の負担が増える可能性がありますが、将来的な年金受給額の増加や、傷病手当金などの給付を受けられるメリットもあります。
扶養からの外れる条件とその影響
配偶者の扶養に入っている場合、年収が130万円を超えると扶養から外れることになります。ただし、106万円の壁の撤廃により、年収が106万円を超えた時点で社会保険への加入が義務付けられるため、扶養から外れるタイミングが早まる可能性があります。
扶養から外れると、自身で保険料を負担する必要があり、手取り額が減少する可能性があります。しかし、前述のとおり、将来的な保障が手厚くなるメリットもあります。
まとめ
106万円の壁の撤廃は、国民健康保険加入者や扶養に入っている方々にとって、大きな制度変更となります。保険料の負担増加というデメリットもありますが、将来的な保障の充実というメリットもあります。自身の働き方やライフプランに合わせて、最適な選択をすることが重要です。
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