人間ドックの費用は、原則として確定申告の医療費控除の対象にはなりません。しかし、受診した結果「重大な疾病」が発見され、その後の治療が行われた場合は、例外的に医療費控除の対象となる可能性があります。
「重大な疾病」の定義とは?
国税庁の公式見解では、「重大な疾病」と明確に定義された疾患の一覧はありません。しかし、一般的に以下のような病気が該当すると考えられます。
- 悪性腫瘍(がん)
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血など)
- 糖尿病(重度の合併症がある場合)
- 肝硬変や腎不全
このような病気は、治療が長期にわたり、重篤な健康被害を及ぼす可能性があるため、医療費控除の対象になる可能性が高いと考えられます。
軽度の病気は対象になるのか?
今回の例で挙げられている「痔」は、重大な疾病と見なされる可能性が低いと考えられます。国税庁の考え方としては、単に本人が「重大な病気」と認識しているかどうかではなく、その病気が医学的に重大な影響を及ぼすかどうかが判断基準になります。
例えば、以下のようなケースでは、控除の対象となる可能性は低いでしょう。
- 単なる健康診断の結果として軽度の病気が発見された場合
- 診断の結果、大きな治療を必要としなかった場合
- 生活習慣の改善程度で済む疾患だった場合
したがって、血便が出たために追加検査を行い、結果的に「痔」だった場合は、医療費控除の対象とはならない可能性が高いです。
医療費控除の対象になるケース
人間ドックの結果、「重大な疾病」が発見され、その後の治療が必要となった場合は、以下のような費用が控除の対象になります。
- 追加の精密検査(CT、MRI、内視鏡検査など)の費用
- 入院や手術などの治療費
- 投薬治療が必要となった場合の薬代
- 通院のための交通費(公共交通機関を利用した場合)
例えば、人間ドックの結果として胃がんが疑われ、内視鏡検査を追加で行い、結果的に手術が必要になった場合、内視鏡検査費用や手術費用は医療費控除の対象となります。
医療費控除の申請方法
実際に医療費控除を申請する際には、以下の書類を用意しておくとスムーズに手続きが進みます。
- 病院・診療所の領収書(診断結果を証明するもの)
- 治療にかかった費用の明細
- 通院時の交通費の記録
- 確定申告書(医療費控除欄への記入)
特に、「人間ドックの結果として重大な疾病が見つかり、その後治療が必要になった」ことを証明する書類を添付すると、控除の申請が通りやすくなります。
まとめ:重大な疾病が見つかった場合のみ控除対象
人間ドックの費用は、基本的には医療費控除の対象外ですが、重大な疾病が発見され、その後の治療を受けた場合は控除の対象となる可能性があります。ただし、「重大な疾病」は個人の主観ではなく、医学的な観点から判断されるため、軽度の病気が見つかった場合は対象とならないことが多いです。
控除を申請する際は、診断結果や治療に関する書類をしっかり準備し、正しく申告することが大切です。
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