家族を持つ40代の方にとって、老後の資産形成と万一の備えはどちらも重要なテーマです。今回は「終身保険を解約してNISAに充当するか?」「払済保険にするか?」「そのまま継続するか?」という悩みに直面している方へ、具体的な判断材料や試算を交えて丁寧に解説します。
まず押さえたい:現在の終身保険の特徴と返戻率の推移
加入中の低解約返戻金型終身保険は、解約時期によって返戻率が大きく変わります。現在は約50万円の払込済で返戻率は65%未満=返戻金は約32〜33万円程度と想定されます。
このタイプの保険は、65歳以降で返戻率が70%に上昇、80歳でやっと元本相当額(100%)になります。つまり、「老後資金目的」には時間的効率が悪いと言えるでしょう。
選択肢①:終身保険を解約してNISAへ充当する
保険料5,000円+解約返戻金(約33万円)をNISA口座に移すことで、年間60,000円を積立→年利4%で運用すると、20年後には約200万円超の資産が見込めます。
これは「保障がない代わりに運用効率が高い」選択肢です。万一の死亡保障は、別の収入保障保険や掛け捨て保険で既にカバーしている前提であれば、現実的な戦略です。
選択肢②:払済保険に変更するメリットとリスク
払済保険とは、それ以上保険料を支払わずに、既払込分に応じた保障を維持する方法です。月5,000円の支払いを停止でき、保障は減額されますが無効にはなりません。
主なメリットは「月の支出を抑えつつ一定の保障を確保」できること。現金化しないため返戻金は得られませんが、「保障は確保したいが積立余力をNISAに回したい」方には適しています。
選択肢③:そのまま継続することの意味と限界
このまま保険料を払い続ければ、満期の65歳で70%、80歳で100%の返戻金となります。ただし、200万円の死亡保障に対し、24年間で払い込む総額は約144万円(5,000円×12か月×24年)と考えると、「保障を得る対価」としてはやや割高です。
また、終身保険の資産性は他の手段(NISA等)と比較するとパフォーマンスが低いため、資産形成目的には向いていません。
200万円に到達するまでの試算:積立 vs 解約返戻金
5,000円をNISA等で年利3.5%で運用すれば、約20年で200万円超が見込まれます(元本60万円程度)。一方、終身保険で解約返戻金が200万円を超えるのは「80歳以降」と遅く、効率の悪さは明白です。
試算比較例:
手段 | 期間 | 金額 |
---|---|---|
NISA積立(利回り4%) | 20年 | 約200万円 |
終身保険(継続) | 65歳時 | 約70万円(返戻率70%) |
終身保険(80歳時) | 39年 | 約100万円 |
まとめ:目的を明確にして最適解を選ぼう
「万一の備え」→現在の掛け捨て型医療・収入保障保険でカバーできるかを確認し、不要なら終身保険の役割は減ります。
「老後資産形成」→運用効率を重視し、終身保険は解約 or 払済へ。NISAの方がリターンが高く、長期投資に有利です。
家計に余裕があり、保障も必要→払済保険+NISA併用
運用重視でリスク許容あり→解約→NISA集中
いずれにせよ、保険と投資は「目的に応じて使い分ける」ことが大切です。金融リテラシーを高め、後悔のない選択をしましょう。
コメント