パート収入のある主婦が「夫の扶養に入る」という場面では、税金・社会保険の両面で注意が必要です。特に「130万円の壁」と呼ばれる社会保険の扶養判定基準は、多くの家庭で誤解されやすいポイント。本記事では、1月〜7月に130万円稼いだ方が8月から扶養に入りたいと考えた場合、何に注意すればいいのか、どれだけの収入であれば問題ないのかを詳しく解説します。
社会保険の扶養条件は「今後の見込み年収」で判定される
社会保険の扶養に入れるかどうかは、過去の収入ではなく「今後の見込み年収」によって判断されます。たとえば8月以降に収入を減らし、見込み年収が130万円未満(60歳未満の場合)であれば、扶養に入ることが可能です。
そのため、1月~7月に130万円以上稼いでいても、8月以降の収入が少なければ「扶養に入れる」可能性があります。ただし、月額10万8333円(=130万円÷12)を超えるかどうかが目安になります。
8月〜12月だけで見た場合の月収の目安
8月から扶養に入ることを前提にすると、8月~12月の5か月間での見込み収入が130万円を超えないことが条件になります。
130万円 ÷ 12か月 × 5か月 = 約54.1万円なので、8月以降の月収は「おおよそ10万8,000円未満」である必要があります。
つまり、扶養に入りたいのであれば、月の収入を10万8,000円未満に抑えるのが安全です。
実例で確認:1〜7月130万円稼いだ場合
例1:1月〜7月で130万円稼ぎ、8月から月5万円で働く場合
→8月以降の年間見込みは5万円×5か月=25万円、年間総収入は約155万円。ただし、社会保険上は「8月からの見込み年収」が基準になるため、扶養に入れる可能性が高い。
例2:1月〜7月で130万円稼ぎ、8月以降も月12万円で働く場合
→8月以降の年間換算収入は12万円×12か月=144万円となり、130万円の壁を超えると見なされ、扶養には入れない。
扶養に入る際の注意点:実際の申請と判断のタイミング
実際に扶養申請する際には、夫の勤務先の健康保険組合に「今後の収入見込み」を申告します。ここで「8月以降は月5万円程度のパート勤務になる」などの説明が求められます。
保険者側は「継続性」や「確実性」を重視します。明確な労働条件の変更(契約書など)や勤務実態の証明が求められる場合もあるため、準備しておきましょう。
税制上の扶養と社会保険上の扶養の違いに注意
税金面(所得税や配偶者控除など)では、年収が103万円以下であることが基本となります。一方、社会保険上は130万円未満が基準です。
そのため、「税の扶養に入れるが、社会保険では入れない」というケースも起こりえます。この記事では社会保険に焦点を当てていますが、税制面でも調整が必要です。
まとめ:8月以降の月収が10万8,000円未満なら扶養に入れる可能性あり
1月〜7月に130万円稼いでいても、8月以降の月収を10万8,000円未満に抑えることで、社会保険上の扶養に入れる可能性は十分にあります。ただし、勤務先の健康保険組合の判断基準によって異なる場合もあるため、日本年金機構や協会けんぽの窓口、または夫の会社の総務部などに相談するのが安心です。
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