休職時に支給される傷病手当金は、過去の給与をもとに計算される「標準報酬月額」を基準としています。しかし、その算定期間を勘違いしていると、誤った期待額をもってしまう可能性も。本記事では、支給額の計算に重要な「標準報酬月額」の正しい算定方法を解説します。
傷病手当金とは何か?支給の基本概要
傷病手当金は、健康保険に加入している人が病気やケガで仕事を休んだ場合に支給される所得補償制度です。会社を連続して3日間以上休み、4日目以降も働けない状態が続いたとき、支給が始まります。
金額は「標準報酬日額の2/3」×支給日数で計算されるため、基礎となる「標準報酬月額」の算定が非常に重要です。
標準報酬月額の算定基準のしくみ
標準報酬月額は、基本的に「休職開始月の前月以前1年間(12か月)の報酬」をもとに算出されます。つまり、休職日が6月30日の場合、その前月は5月なので、前年6月〜当年5月までの12か月分の報酬が対象となります。
これは多くの健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)の規定で共通しており、「算定対象月の末日が属する月までの過去12か月」と定義されます。
12か月未満の加入者はどうなる?
被保険者期間が12か月未満の場合は、実際に加入していた月数で計算されます。ただし、以下のような補足的な取り扱いがあります。
- 報酬月額の平均額が28万円未満の場合:実際の平均額を使用
- 報酬月額の平均額が28万円以上の場合:最低でも28万円として扱う
これにより、短期間の勤務でも一定以上の金額が保障される設計になっています。
算定対象から外れる項目に注意
賞与や通勤費、出張手当などの臨時的な支給分は、報酬に含まれないケースがあります。標準報酬月額はあくまで「毎月決まって支給される給与(基本給+役職手当など)」が基礎です。
そのため、月によって給与の変動がある場合や、手当の内訳が複雑な場合は、会社の総務・人事部や保険者に確認するのが確実です。
実際の計算例:6月30日欠勤開始のケース
たとえば、6月30日から欠勤を開始した場合の標準報酬月額は、次の通り計算されます。
●算定対象期間:前年6月1日〜当年5月31日
●12か月間の報酬合計:4,800,000円
●平均月額:4,800,000円 ÷ 12 = 400,000円
→ この平均月額から健康保険の等級をもとに標準報酬月額が決定されます。
まとめ:休職日を起点に過去1年間が算定対象
標準報酬月額の算定は「休職開始日の前月までの12か月間」が基本となります。したがって、6月30日開始の場合は「前年6月〜今年5月」が対象です。
正しい算定期間を理解しておくことで、手当の金額や手続きの見通しも明確になります。疑問があれば、加入している健康保険組合または会社の総務に遠慮なく相談しましょう。
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