なぜ1円玉や5円玉を貯めるのか?小銭を溜め込む心理とその背景

家計、貯金

家の引き出しやタンスの奥から、1円玉や5円玉、10円玉が大量に出てきた経験はありませんか?特に高齢の親世代が、これらの小銭を無造作に袋に詰めて保管している光景は珍しくありません。今回は、なぜ人々が少額硬貨を貯め込むのか、その心理的背景や行動経済学の観点から探ってみましょう。

小銭を貯める人は意外と多い

日本では約6割の人が「家に小銭を貯めた経験がある」と回答しています。貯める理由のトップは「貯蓄のため」で45.9%、次いで「小銭が使いづらいため」が21.5%、「無駄遣いを防ぐため」が15.9%となっています。特に男性は「小銭が使いづらい」と感じて貯める傾向が強いようです。

また、貯める小銭の種類にも男女差が見られ、男性は1円玉や5円玉、10円玉などの少額硬貨を、女性は500円玉や100円玉などの高額硬貨を貯める傾向があります。

行動経済学から見る小銭貯金の心理

行動経済学では、人間の非合理的な行動を研究対象としています。小銭を貯める行動もその一例です。例えば、「現在志向バイアス」という概念では、人は将来の利益よりも目先の利益を優先しがちであるとされています。そのため、小銭を貯めることで「貯まっている」という実感を得やすく、達成感を感じることができます。

また、「フレーミング効果」により、「1年間で60万円貯蓄する」という目標よりも、「1ヶ月で5万円貯蓄する」といった具体的で達成可能な目標の方が、行動に移しやすいとされています。小銭貯金は、まさにこの効果を利用した貯蓄方法と言えるでしょう。

高齢者が小銭を貯める背景

高齢者が1円玉や5円玉を貯める背景には、いくつかの要因が考えられます。まず、デジタル機器の扱いが苦手で、現金主義の方が多いこと。次に、振込用紙での支払いが主流で、お釣りとして小銭が手元に残ることが多いこと。そして、戦後の物資不足を経験した世代であるため、物を大切にする習慣が根付いていることが挙げられます。

また、小銭を貯めることで「節約している」「無駄遣いをしていない」という安心感を得ることができるため、心理的な安定を求めている可能性もあります。

小銭貯金のメリットとデメリット

小銭貯金のメリットとしては、無理なく貯蓄ができること、貯まっている実感を得やすいこと、節約意識が高まることなどが挙げられます。一方、デメリットとしては、保管場所を取ること、重くて持ち運びが大変なこと、銀行での入金や両替に手数料がかかる場合があることなどが考えられます。

特に近年では、銀行での小銭の入金や両替に手数料が発生するケースが増えており、大量の小銭を処理する際には注意が必要です。

まとめ:小銭貯金は人それぞれの価値観の表れ

1円玉や5円玉、10円玉を貯める行動は、単なる貯蓄手段ではなく、その人の生活習慣や価値観、心理的な安心感を求める行動の表れです。特に高齢者にとっては、現金を手元に置くことで安心感を得ることができるため、小銭を貯めることが習慣化している場合があります。

もし家族が大量の小銭を貯めていたとしても、それはその人なりの生活の知恵や安心感の表れであると理解し、尊重することが大切です。

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