交通事故に遭った際、加害者が明確であっても「物損事故」として処理されるケースがあります。しかし後から痛みが出て通院するようなケースでは「人身事故」への切り替えを検討すべき状況も。物損と人身の違いを理解し、自分にとって適切な対応ができるようにしておくことが大切です。
物損事故と人身事故の基本的な違い
物損事故は、車やモノなどの損害にとどまる事故処理の形で、ケガがないと申告することで成立します。一方、人身事故は身体に被害が出たときに適用され、警察に診断書を提出し、手続きが必要です。
加害者が認めたうえで、被害者が「軽い事故だから」と物損で済ませると、後々補償が制限される可能性もあります。
人身事故にするメリットと得られる補償
人身事故と認定されると、以下の補償を保険会社から請求できます。
- 治療費の実費
- 通院慰謝料(日額4,200円程度)
- 休業損害(収入減に対する補填)
- 後遺障害等級が認定されればさらに補償
たとえば、むち打ちで3ヶ月通院した場合、40〜50万円程度の慰謝料が支払われるケースもあります。
物損事故のままでは受けられない補償も
物損事故の場合は、車の修理代やレッカー費用など、物的な損害だけが対象となり、通院や精神的苦痛に対する慰謝料は一切出ません。
事故直後に痛みがなくても、後から症状が出ることは珍しくなく、医師の診断をもとに人身事故へ切り替えるのが一般的です。
人身事故への切り替え方法と注意点
事故当初を物損で届け出た場合でも、医師の診断書があれば、事故後に人身扱いへ変更可能です。
- 診断書を取得(初診日を含む)
- 事故発生から概ね7日以内を目安に警察へ提出
- 人身事故の再届出を行う
ただし、加害者が処罰される可能性もあるため、保険会社や相手方から「物損のままで」と言われるケースも。自身の補償を守るためには、躊躇せず切り替える判断が大切です。
人身事故にするデメリットは?
加害者側に刑事処分(罰金や違反点数)がつくため、穏便に済ませたい場合は迷うかもしれません。
また、警察での実況見分や書類手続きが必要となり、時間と手間が増えるのも事実です。ただし、これによって得られる補償の差は非常に大きいため、軽視は禁物です。
まとめ:補償を重視するなら人身事故への切り替えを
後から痛みが出た、通院が必要になったというケースでは、人身事故として処理することで慰謝料や損害補償の対象となります。
一方、物損事故のままだと精神的・身体的な被害は考慮されません。手続きの手間を考えても、自身の権利を守る意味で、人身事故への切り替えを検討する価値は十分あります。
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