自動車保険の等級制度は、保険料や割引率に大きな影響を与える重要な仕組みです。特に複数台所有している場合や保険会社を分けて契約しているケースでは、等級管理に注意が必要です。本記事では、車を複数所有している間に起こりうる等級への影響や、いわゆる“デメリット等級逃れ”と誤解されやすい行動について詳しく解説します。
自動車保険の等級制度とは
自動車保険の等級制度(ノンフリート等級)は1等級から20等級まであり、事故がなければ1年ごとに1等級ずつ上がり、保険料が安くなっていきます。逆に事故を起こすと、事故有係数が適用され、翌年の等級が大きく下がる「デメリット等級」となり、保険料が割高になります。
たとえば、6等級で事故を起こすと次年度は3等級に下がり、事故有係数が3年間適用される可能性があります。
複数台所有と等級の管理
原則として1人が所有・運転する1台につき、等級が1つ設定されます。そのため、車を複数所有している場合、それぞれの車に個別の等級が存在します。保険会社が異なる場合でも等級は車ごとに管理されるため、ある車の等級が他の車に直接影響することはありません。
ただし、等級の引継ぎや名義変更の際には注意が必要で、誤解があると「不正な等級利用」とみなされることもあります。
「デメリット等級逃れ」とは何か
「デメリット等級逃れ」とは、事故歴のある車両を短期間のみ保有し、その後解約することで等級の下落を回避しようとする行為を指すとされます。これが故意であれば保険会社に問題視される場合もありますが、正当な売却や解約理由があれば問題になるケースはほとんどありません。
たとえば、車Aが事故を起こして2等級に下がっていたとしても、別の車BやCが独立した契約・等級である場合、それらに影響はありません。また、車Aを将来的に売却予定であっても、通常の買い替えや所有整理であれば不正行為とされることはないでしょう。
3台保有から2台に減らす際のポイント
3台体制を一時的に導入し、その後1台を手放すことは一般的なケースであり、保険会社も想定済みの運用です。ただし、解約タイミングや等級の移行を伴う操作(例:事故車から新車への等級引継ぎ)などを行う場合は、必ず事前に保険会社へ確認することがトラブル回避につながります。
特に等級の移行については、「被保険者」「記名被保険者」「車両の使用目的」などが影響するため、安易な移動はリスクとなる場合もあります。
実例:等級別の影響と保険料イメージ
例えば、車A(2等級)、車B(6等級→7等級予定)、車C(新規契約)という状態で、車Aを翌年に売却した場合、他の車両の等級や保険料には一切影響しません。車Cを新規で加入する場合、新規6等級からのスタートが基本ですが、条件次第では他の等級を引き継げることもあります。
このように、正規の契約・解約を行っている限り、等級制度上の不正利用とみなされる心配はほぼありません。
まとめ
自動車保険の等級制度は、車両ごとに独立して管理されており、複数台の保険契約でも、正しく手続きすれば他の車の等級に影響を与えることはありません。また、車両の売却や保険の解約を行う際も、正当な理由がある限り「デメリット等級逃れ」と判断される可能性は低いです。不安な場合は、事前に契約中の保険会社へ相談しておくことで安心して手続きを進めることができます。
コメント