株を「生前売却」vs「相続後売却」で税金はどう変わる? 相続税・譲渡所得税の仕組みをわかりやすく解説

税金

ご夫婦で保有している株を、配偶者の生前に売却するか、あるいは相続してから売却するか――このような判断では、「税金が二重でかかるのでは」と不安になる人も多いでしょう。本記事では、「生前に売る」「亡くなってから相続して売る」の違い、それぞれにかかる税金の種類や負担、節税に向けた考え方を整理します。

株の売却と課税:まずは基本の仕組み

株式を売って利益が出た場合、その利益(売却益)は「譲渡所得」として課税対象になります。上場株式などの場合、税率は所得税15%+住民税5%(+復興特別所得税)で、合計約20.3%です。([国税庁の制度]および[相続後の株式売却解説]の案内から) :contentReference[oaicite:0]{index=0}

つまり、生前でも相続後でも、売却を行えば「譲渡所得税(譲渡益に対する税金)」が課される可能性があります。

生前売却する場合 — 譲渡所得のみ課税される

もし配偶者が生前に株を売却すれば、その売却益に対して譲渡所得税がかかります。所得としての申告・納税義務が生じ、株の含み益分が課税対象となります。

この方法のメリットは、相続税の問題を避けられること。ただし「含み益が大きい」「売却タイミングに注意」「まとまった課税額になる可能性がある」というデメリットもあります。

相続後に売却する場合 — 相続税+譲渡所得税または特例の適用を検討

被相続人が亡くなった後、株式をあなたが相続し、その後に売却する場合、まず「相続税」の対象となる可能性があります。遺産全体が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納税義務が発生します。

その上で、相続した株を売却すれば、譲渡所得税も別途発生します。つまり、二重で税がかかるように感じるケースがあります。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}

ただし「取得費加算の特例」で譲渡所得税が軽くなる可能性

相続した株式などを相続開始から一定期間以内(たとえば相続税申告期限の翌日から3年以内)に売却する場合、払った相続税額の一部を“取得費”に加算できる「」が利用できることがあります。これにより、譲渡所得税負担を抑えられる可能性があります。 :contentReference[oaicite:3]{index=3}

ただし、この特例を受けるには相続税の申告が必要で、売却後は確定申告を含めた手続きが必要となります。

どちらを選ぶと「二重課税」を避けやすいか ― 判断のポイント

  • 株に大きな含み益があるなら生前売却も検討
    → 含み益に対してのみ譲渡所得税で済み、相続税の対象外になる可能性あり。
  • 遺産全体が相続税の基礎控除を超える可能性が高い場合、相続後売却でも「取得費加算の特例」の活用を検討
    → 税負担の軽減が期待できる。
  • 被相続人の所得や他の資産構成、家族構成などをふまえた総合判断が必要

実例で比較してみる

たとえば、夫が取得時1000万円の株を2000万円で売ると、1000万円の譲渡益に対し約20%の税金がかかります。一方、同株を相続して売る場合、もし相続税が発生していたら、その相続税分を取得費に加算して譲渡所得を調整できる可能性があります。ただし、その手続きと申告の負担も考慮する必要があります。

まとめ — 一概に「こっちが得」とは言えない。目的と状況で判断を

結論として、生前売却と相続後売却はそれぞれ異なる税の問題があります。含み益の額、他の資産や控除の状況、将来のライフプランなどを踏まえて、どちらが有利かを判断するのが適切です。

税金は複数種類にまたがるため、一度にすべて考えると複雑ですが、あらかじめ専門家(税理士など)に相談しつつ、今回紹介した「譲渡所得税」「相続税」「取得費加算の特例」を理解することで、後悔の少ない選択ができる可能性が高まります。

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