2025年1月から金融所得課税の制度見直しが行われると報道されていますが、「75歳以上のみが対象」などの誤解が広がっています。本記事では、金融所得課税の基本から2025年以降の変更内容、そして高齢者との関係について詳しく解説します。
金融所得課税とは?基本の仕組みをおさらい
金融所得課税とは、株式の配当金や譲渡益、債券利子などに課される税金のことです。現行制度では、所得税15%と住民税5%の合計20%(+復興特別所得税0.315%)が源泉徴収されます。
対象となるのは、以下のような所得です:
- 株式配当金
- 上場株式の譲渡益
- 公社債の利子
- 投資信託の分配金 など
これらの金融商品によって得た利益は、他の所得とは分離して課税される「分離課税」として扱われています。
2025年以降の金融所得課税の見直し内容
政府は格差是正や財政健全化を目的として、金融所得課税に関する制度見直しを検討しています。特に「金融所得の合算課税」や「高所得者に対する税率引き上げ」が焦点となっています。
しかし、2025年から「75歳以上の人だけが新たに課税対象になる」といった制度変更は、現時点では政府から公式に発表されていません。むしろ金融資産を多く持つ富裕層や高所得者層全体に対して、より公平な課税を図る方向性が議論されています。
誤解されやすい「高齢者のみ課税強化」という情報
一部で「75歳以上のみ金融所得課税が強化される」といった情報が流れていますが、これは誤解です。高齢者特有の非課税枠や優遇制度は存在するものの、課税そのものが75歳以上に限られるという制度ではありません。
たとえば、配当控除や基礎控除、年金所得控除などがあるため、実際に課税対象になるかどうかは所得総額により異なります。年齢ではなく、「年間の金融所得の額」と「その他の所得」との合算結果によって課税の有無が決まります。
今後の金融所得課税に関する動向と注意点
金融所得課税の見直しは、岸田政権の「資産所得倍増プラン」とも関連しており、資産運用の環境整備と同時に、税制の見直しも並行して進められています。特に注目されているのは次のような点です。
- 課税所得額に応じた累進税率の導入
- NISAとの整合性
- 税回避的な取引への監視強化
2025年以降も、非課税制度(NISA)や控除制度の活用は重要となるため、制度変更の動向を定期的にチェックしておくことが推奨されます。
まとめ:年齢ではなく「金融所得の額」がポイント
2025年からの金融所得課税に関する見直しは予定されていますが、「75歳以上が対象」というのは誤った認識です。実際の課税は、金融所得の金額や所得全体との合計額で決まるため、年齢に関係なく高所得者には影響が出る可能性があります。誤解に惑わされず、最新の税制改正情報に基づいて資産運用を検討していきましょう。
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