複数の銀行口座は1つにまとめられる？過去の口座と現在の運用の違い・統合の実際

かつては同じ銀行で複数の普通預金口座を所有することが可能でしたが、現在はマネーロンダリング対策の強化などにより、原則として一人一口座が基本となっています。この記事では、複数口座を運用している人が将来的にどのように管理すべきか、口座を統合することは可能かについて詳しく解説します。

2000年前後までの複数口座の取り扱い

2000年代初頭までは、多くの金融機関が一人で複数の口座を持つことを黙認していました。特に窓口での本人確認が緩やかだった時代には、住所や勤務先の違いを理由に複数の口座を開設することが可能でした。

その背景には、給与振込や公共料金引き落としなど目的別に口座を使い分ける需要や、キャンペーンで口座開設を促す動きがあったためです。

現在、多くの都市銀行・地方銀行・ネット銀行では、「同一名義人が複数の普通預金口座を開設することはできません」と定めています。これは、マネーロンダリングや振り込め詐欺の防止を目的としたものです。

ただし、過去に開設した口座については即時閉鎖されることはなく、通帳が手元にあり、本人確認情報の更新がされていれば利用が継続できることがほとんどです。

銀行によっては、複数ある口座のうち1つを残して他を解約する、という形で口座の「統合」に対応しています。しかし実際には、「口座番号を統合する」ような技術的処理はできません。

複数の通帳・口座を管理している場合は、使わない口座を解約し、メイン口座に資金を移していく「自力での整理」が現実的な方法です。

住宅ローンやカーローンなどの相談時には、主に「返済能力の確認」と「取引実績」が重視されます。複数の口座を持っていても、実際に利用している口座や過去の収支状況が明確であれば問題ありません。

逆に、未使用の口座が多数あると、資金の流れが不透明と判断される可能性もあるため、不要な口座は解約しておいたほうが印象が良いでしょう。

金融庁や銀行では、通帳の長期未記帳や10年以上未使用の口座に対して、休眠口座化や解約手続きが進められることがあります。銀行によっては、年1回程度の入出金があれば閉鎖対象から外れることも。

継続利用の意思がある場合は、少額でも入出金を行う、住所変更やマイナンバー提出などの手続きを済ませておくことが重要です。

過去に複数口座を保有している方でも、現在のルール下では統合というよりは「整理」が求められています。ローン審査や日常の家計管理においては、明確な資金の流れが重要です。

不要な口座は順次解約し、メインの口座に資金や取引を集中させることで、金融機関との信頼関係も高まりやすくなります。