公務員として高卒で18歳から勤め上げ、定年まで厚生年金保険料を払い続けた場合、どの程度の年金を受け取れるのか気になる方は多いでしょう。特に、管理職までは難しくとも係長や主任級まで昇任できるケースでは、年金額にどのような影響があるのかを具体的に理解することは将来設計に役立ちます。本記事では、公務員の厚生年金の仕組みや想定される受給額の目安を、実例を交えてわかりやすく解説します。
公務員の厚生年金制度の基本
2015年の制度改正により、公務員も一般企業の会社員と同じ厚生年金に一本化されました。基礎年金部分(国民年金)と報酬比例部分(給与や役職に応じた加算)から構成されています。これにより、公務員と民間会社員で大きな差はなくなり、勤続年数と給与水準が主な年金額の決定要素となります。
例えば、高卒で18歳から65歳までの47年間フルで加入すれば、基礎年金だけでも満額に近い金額を受け取ることができます。その上で、給与に応じた報酬比例部分が加算されます。
47年間勤務した場合の受給額の目安
基礎年金の満額は約80万円(年額)です。これに報酬比例部分が加わります。仮に平均標準報酬月額が30万円程度とすると、報酬比例部分は年間約100万円程度になると想定できます。したがって、基礎年金と合わせて年間180万円前後、月額にするとおよそ15万円程度の厚生年金を受け取れる可能性があります。
実際には役職手当や昇任の有無によって金額は変動します。係長や主任級に昇任すれば、報酬月額が上昇するため年金額も増える仕組みです。
具体的なケーススタディ
例として、次のケースを考えてみましょう。
- 高卒入庁、18歳から65歳まで勤務(47年加入)
- 最終役職:係長級、平均標準報酬月額35万円
この場合、報酬比例部分は年間約120万円、基礎年金約80万円と合計で年間200万円程度(毎月16万〜17万円)になる可能性があります。これは一般的な民間会社員の平均年金額(14万円前後)よりやや高めの水準です。
一方で、昇任が少なく平均報酬が25万円程度にとどまった場合は、報酬比例部分が年間80万円程度となり、合計で160万円程度(毎月13万円前後)になる想定です。
昇任や給与水準が与える影響
年金額に大きく影響するのは「標準報酬月額」の水準です。主任や係長級に昇任できるかどうかで、将来の年金額に数万円単位の差が出ることも珍しくありません。長期勤続による昇給の積み重ねが報酬比例部分に反映されるため、公務員として安定して勤め続けることは年金額を確実に底上げする効果があります。
特に公務員の場合は、退職金や恩給的要素のある手当も含め、老後の生活設計を手厚くできる傾向があります。
老後生活費とのバランス
総務省や厚生労働省の調査によると、夫婦2人の老後生活費の平均は月額22万〜23万円程度とされています。単身世帯では月額14万〜15万円程度が目安です。公務員としての厚生年金が月15万円程度あれば、独身や夫婦共働きであれば老後の生活に必要な水準をある程度満たせることがわかります。
ただし、医療費や介護費用など将来的な支出も見込む必要があるため、退職金や貯蓄との併用が重要になります。
まとめ
高卒で公務員となり、定年まで47年間勤め上げた場合、厚生年金の受給額は月額13万〜17万円程度が想定されます。基礎年金に加え、昇任や給与水準によって報酬比例部分が増減するため、キャリアパスや昇進の有無が大きなカギとなります。
公務員は長期安定した勤続が見込める職種であり、厚生年金に加えて退職金なども手厚いことから、老後生活を支える基盤として非常に有利です。将来の生活設計を考える上で、昇任を目指しつつ計画的な貯蓄を進めることが安心につながるでしょう。


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