年金の繰上げ受給は、受給開始時期を早めることで年金額が減額される一方、生涯で受け取る総額や生活設計に影響する重要な判断です。特にねんきんネットでシミュレーションを行う際は、正確な入力が必要です。本記事では「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の繰上げ試算を正しく行う方法を解説します。
老齢基礎年金・老齢厚生年金の繰上げとは
老齢基礎年金は原則として65歳から支給開始され、老齢厚生年金も同様に65歳からの支給が基本ですが、60歳から繰上げ受給を選ぶことが可能です。ただし、繰上げると1ヶ月あたり0.4%(2022年4月以降の繰上げは0.4%)減額され、生涯その金額が続きます。
一方で、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分等)をすでに受給している人でも、老齢厚生年金(65歳以降分)や老齢基礎年金の繰上げは可能です。
ねんきんネットでの繰上げ試算時の入力方法
ねんきんネットで「繰上げの試算」を行う場合、以下のように入力します。
- 繰上げする年齢の設定:繰上げを希望する受給開始年齢を「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」それぞれに入力します。例えば64歳0ヶ月で受給したい場合、「64歳0ヶ月」と入力。
- 比較年齢の入力:通常の受給開始年齢(65歳0ヶ月)を「比較年齢」として入力します。これにより、繰上げによる減額率や生涯総額の差が視覚的に比較できます。
例:来年1月に65歳になる方が、繰上げ受給を64歳6ヶ月にしたい場合は
「受給開始年齢:64歳6ヶ月」
「比較年齢:65歳0ヶ月」
と設定してください。
追い越し時期(損益分岐点)も試算に含めて確認
よく「繰上げは何歳で追い越されるか」と言われますが、これは通常の65歳受給と比較して、何年で繰上げ受給の総額が逆転されるかを指します。ねんきんネットでは「生涯受取見込み額」などから損益分岐点を自動で算出する機能はないため、自分で年間額をもとに手計算が必要です。
例として、年金額が65歳から月10万円、64歳6ヶ月からなら月9万7千円の場合、繰上げ期間中に受け取る合計額と差額から「逆転される年齢」を算出できます。
ねんきんネットの操作手順(簡易ガイド)
- ねんきんネットにログイン
- メニューから「年金見込額試算」を選択
- 「老齢年金の受給開始年齢を変えて試算する」をクリック
- 「受給開始年齢」を繰上げ希望の年齢に入力(例:64歳6ヶ月)
- 「比較年齢」に通常年齢(65歳0ヶ月)を入力
- 「試算実行」をクリック
試算結果では、月額年金額や減額率、受給総額の簡易比較が可能です。
繰上げ受給の注意点
繰上げ受給には以下のリスクもあるため注意が必要です。
- 一度繰上げると取り消しできない
- 障害年金や遺族年金の給付要件に影響することがある
- 生涯にわたり減額が継続
生活資金に余裕がある、長生きの家系である、就労の継続見込みがある方は、繰上げせずに通常の65歳受給も視野に入れるべきです。
まとめ:繰上げ年齢の入力方法を正しく理解しておこう
ねんきんネットを使って繰上げ受給の試算をする際は、「受給開始年齢」には希望する年齢を、「比較年齢」には65歳0ヶ月を設定するのが基本です。年金は一生に関わる大切な収入源なので、損得を含めた比較試算を正確に行い、自分にとって最適な選択をしましょう。
どうしてもわからない場合は、最寄りの年金事務所や日本年金機構に問い合わせると安心です。
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