年金制度と防衛費のバランスを考える：日本の財政政策を読み解く

日本の年金制度や防衛費に関して、「なぜ年金は減り続けるのに、在日米軍関連の支出は増えているのか」といった疑問や批判を目にすることがあります。この記事では、日本の財政支出の構造と背景を整理し、年金と防衛予算の現実的な関係をわかりやすく解説します。

日本の財政支出の内訳とは

国家予算は大きく「社会保障費」「公共事業費」「防衛費」「教育費」「地方交付税」などに分けられます。令和6年度の一般会計予算では、社会保障費（年金・医療・介護など）は約37兆円で、国家予算の約3分の1を占めています。対して、防衛関係費は約7兆円程度で、全体の約5％未満にすぎません。

このことからも、防衛費が年金財源を圧迫しているという見方は事実に基づいているとは言い難いのが現状です。

在日米軍関連の支出、いわゆる「思いやり予算」は、日米地位協定に基づいて支払われており、主に基地の水道光熱費や日本人従業員の給与などに充てられています。これは年間で約2000億円程度です。

この支出は、日米同盟の維持と安全保障に対する対価として、日本が自主的に判断して実施しているものです。支出額自体は国家予算全体のごく一部にとどまります。

年金支給額が減少している最大の要因は、少子高齢化と現役世代の減少です。年金は「賦課方式」といって、現役世代の保険料で高齢者に給付される仕組みです。人口のバランスが崩れることで、1人あたりに行き渡る金額が相対的に減る傾向にあります。

また、年金の「マクロ経済スライド」により、物価や賃金の変動に応じて給付額が調整されるため、実質的な減額を感じる人も増えています。

「誰を優遇しているか」「どの予算を優先するか」は、政権与党の方針に影響されます。選挙を通じて国民が意思表示することで、年金制度改革や税制、外交方針の見直しが促されることもあります。

たとえば、年金の最低保障機能を強化する政党、ベーシックインカムを主張する政党、防衛費の見直しを訴える政党など、それぞれの政策に注目して判断することが重要です。

不満を感じたときに「選挙に行く」ことは、変化への第一歩です。財政の中身や政党の政策を比較検討し、自分にとって最善と思える選択をすることが、民主主義の基本です。

また、自治体の年金相談窓口で自分の将来設計を見直したり、NISA・iDeCoなどの制度を活用して補完的な老後資金を用意することも現実的な選択肢です。

年金問題と防衛予算をめぐる疑問は、多くの人に共通する関心事です。しかし、財政の現状を正しく理解し、感情論だけではなく、データと制度設計を基にした議論が求められます。変化を望むなら、まずは選挙に行き、自分の意見を政策に反映できる一票を投じることが、未来を変える第一歩となります。