学資保険は誰のためのもの？契約者と受取人の関係とお金の扱いについて考える

学資保険は、子どもや孫の教育費用を準備するために加入する保険です。しかし、契約者が保険金をどのように使うか、また誰が受取人なのかによって、そのお金の扱い方や受け取り方に対する考え方は大きく変わってきます。この記事では、学資保険の仕組みと、満期時に保険金をどう扱うべきかについて整理していきます。

学資保険の基本的な仕組み

学資保険は、一般的に契約者（多くの場合は親や祖父母）が保険料を支払い、被保険者（子や孫）の進学時期などに満期保険金が支払われる仕組みです。保険会社との契約において、「契約者」「被保険者」「受取人」の3者の関係が明確に定められます。

この中で最も重要なのは「受取人」が誰かという点です。満期金の受取人が契約者自身であれば、そのお金をどう使うかは法律上、契約者の自由です。ただし、それが道義的にどうなのかは別の話になります。

「孫のために学資保険をかけた」と言いながら、満期になった際に孫にはごくわずかな金額しか渡さず、残りを全て自分のものにするという行為は、周囲から誤解や不信感を生む可能性があります。

たとえば、学資保険に「孫の学費を用意したい」という名目があった場合、満期金を自分の生活費に回すと、結果として「名目と実際の使途が違う」というズレが生じます。これは親族間の信頼関係にも影響を与えかねません。

保険契約において受取人が契約者（祖母）になっている場合、満期保険金の受け取りは完全に契約者の権利です。法的には問題はありません。しかし、契約当初の意図が「孫のため」であった場合、それに反する使い方をするとトラブルの火種になることがあります。

また、孫やその親が贈与とみなしていた場合には、金銭の流れが明確になっていないと、贈与税や親族間の揉め事の原因になることもあるため注意が必要です。

保険金の使い道については、事前に家族と話し合っておくことが大切です。特に、「学資保険＝孫の進学費用」と期待していた場合、その期待を裏切るような扱いをすると感情的なしこりが残るかもしれません。

たとえば、満期保険金のうちの一部を孫に渡し、残りは自分の老後資金に使うという選択肢もあります。その際は、「これだけ保険料を支払ってきたので、この分は老後のために使わせてね」と一言添えるだけでも、相手の受け取り方は大きく変わるでしょう。

ある家庭では、祖母が契約者となって学資保険をかけ、満期時に「教育資金」として全額を孫の口座に振り込んだという例があります。その一方で、「医療費や生活に困った時のため」として一部だけを孫に渡し、残りを自分の生活資金としたケースもありました。

重要なのは、その背景にきちんとした「説明」や「共有」があるかどうかです。黙って保険金を処理するよりも、透明性をもって対応することで、信頼関係を築き続けることができます。

学資保険の満期金を誰がどう使うかは契約内容に依存しますが、家族間の信頼関係や将来の関係性を考えると、誠実な説明と配慮が欠かせません。

「孫のためにかけた」と言いながら、実際には自分のために使うというのは、法律上問題はなくとも、感情的な摩擦の原因になりかねません。お金のことだからこそ、“誠意”と“説明”が何より大切なのです。